presents
□get a crush!
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「なんだよ、いきなり」
日番谷は目を丸くして言った。さっきまでにこにこしていたはずの彼女が、いきなりこれだ。
「なんでもありませんっ!!」
ぷりぷりと頬を膨らませながら、歩く速度を速めて雛森は日番谷の斜め前を歩く。
「あたしのこと、どうでもいいんでしょっ!?」
二人の距離は、一定にキープしながら。
いよいよわからなくなってきた。雛森が言うのだから、自分がそう思わせるようなことをしたのは確かだろう。しかし一体自分は何をしたんだ、と日番谷は眉を曇らせた。
でもこれだけは言える。
「どうでもいいわけねえだろ」
雛森がその声に振り返ると、日番谷の吐く息の白と空の碧が混ざり合った。
「お前が何に対して怒ってんのかわかんねえことは、謝る。でも俺は――
「日番谷くん、あたしのチョコ食べてくれた?」
雛森が言葉を遮ると同時日番谷の頭には無数の疑問符が浮かび上がった。
しかし次の瞬間、
「…あ」
という彼の声が冬の透き通るような碧空にこだまして、すぐに消えた。