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□Web拍手作品
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明日は祐希と付き合って1年の記念日



(1年か…)(これからもずっと一緒にいたいな)




記念日っていったら何をするんだろう……


夜景を見に行ったりとか?

それでそれで、普段言わないような甘いセリフなんか言ってくれたりとかして………



(うわーうわー!)




妄想しながら一人で盛り上がってたら、メールの着信音が鳴った


メールは、祐希からだった




『明日、うち来て。』



何か考えてくれるんだと思うと嬉しくなって、その日は早く布団に入ったにも関わらずよく眠れなかった








翌日、いつもよりお洒落をしてウキウキしながら、祐希の家に行きチャイムを押すと中から祐希が出てきた



「祐希!」

「あー、いらっしゃい」

「今日…は……?」




祐希はロンTで、部屋着のような格好をしていて、あたしを家の中に入るように促した




「え、今日?あー…CM終わるから早く入って」

「あ、うん…。…CM?」



靴を脱ぎ、やや急ぎ気味の祐希のあとを着いていった

祐希はリビングのこたつに入ったので、あたしも隣に座る


こたつの前にあるテレビには、SALEのCMみたいのがやっていて、それが終わるとアニメが始まった



祐希は身を乗り出して、食い入るように見始めた




「祐希?なにこれ?」

「え、名作アニメ劇場だけど…」

「今日は…どこにも行かないの?」

「なんで?」

「え…だって………………」

「見ていいですか。アニメ」




そう言うと祐希は返事を待たずに、またアニメを見はじめた




(なんだ、別に記念日だからって何かしてくれるわけじゃ無いんだ…)



ふう、とため息をついて、あたしもそのアニメを見ることにした




アニメの途中、何度も何度も祐希の携帯が鳴った

祐希はずっと無視してたけど…


(誰からなんだろう…?)




祐希の携帯が気になりつつもアニメを見るが、中盤くらいになると睡魔が襲ってきた



(あーやばい)(昨日よく眠れなかったから…)



だんだんと船を漕ぎはじめる



(祐希の肩、寄り掛かってもいいかな……)




そっと祐希の肩に頭を乗せる

そのまま目を閉じると、すーっと眠れた







―…


(ん…?)


「あ、起きた」



目を開けるとあたしは祐希の肩にもたれ掛かっていて、慌てて体を離す



「うわっ、ごめん!」

「すっごいイビキかいてたよ」

「えっ嘘!!」

「うそ」



テレビから目を離さずに、得意げな顔をする祐希の腕をパシッと叩く



「いった」

「変な事言うからでしょ」

「はー、肩貸してあげてたのに」

「………」

「………」

「アニメまだ終わんないんだ」

「あと15分くらい」

「ふーん……」



ブーブー、とバイブレーションの祐希の携帯がなる



「ねえ、携帯鳴ってるけど…」

「んー…」



CMになると、やっと祐希は目線をテレビから外した


祐希はあたしの方に顔だけ向け、得に雰囲気もないままちゅ、とキスをした


「千鶴が、今日で1年って知っててなんかメールの音で邪魔しようとしてるだけだし」

「邪魔?」

「しらない。頭も髪型もおかしいから」

「あはは」

「うん、まあ1年と言わず、ずっと一緒にいようか」




CMが終わる頃には、あたしたちは手を繋いで寄り添っていた

そのまま二人してアニメを見た








「もっこアニメやるから見るね」

「え…まだあるの」




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