一緒に歩こう。

□CHILDREN WORLD
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舞「月に住んでるうさぎさんって大変よね…」



急にそんなことを呟く舞音ちゃん。



春「え?」



舞「だって毎日ずっとお餅搗いてるんだもん。疲れちゃうよ」



春「あ、それは…えーと、」



珍しく春が返答に困っていると、



祐「あー、ないない。


今はもう全部機械だから。時代だよ、時代。


ね、七実。」



『え、あー、うん。 あのゴウンゴウンするやつだっけ』



舞「そうなんだぁ!良かったー」



祐希のフォローによりホッとする春。


ふと要達のほうに目を向けると、要が由真に何やら言われている。


要の表情から察するにお説教のようなものだろう。


何やってんだか。


ボーッとしている間に舞音ちゃんの絵が凄いことになっていた。



舞「わぁあ!すごーい!!これで皆安全に渡れるんだね」


祐「まぁ、経験の差だよね」


『…なにやってんの君ら。』


由真「へぇー、絵うまいんだね、祐希」



上手いのか、これは。



春「舞音ちゃん、これは?」



春は下に隠れていたもう一枚の絵を指して言う。



舞「これはね、海の中に遊園地があってね、好きなだけ遊べるの!」


要「…でもそれじゃ息できねえだろ?」


舞「大丈夫!皆空気が吸えるようにホース付けてるから。」


要「違う違う これは先っぽが水面から出てないと空気吸えねぇんだよ

かしてみ」



そう言って鉛筆を手に取る要。


あっ、と思ったときにはもう手遅れだった。



要「ホラ、こうしたらちゃんと吸え…!?」



じわり、と目を潤ませる舞音ちゃんに要は吃驚したようで。


消しゴムをとって消そうとするも…



舞「いい もう、いい」



完全に舞音ちゃんの機嫌を損なわせた要。



悠「ごめんね、何食べたい?」


舞「…ゆきんこだいふく…」


祐「だって、6つね」


要「それお前らの分入ってるだろ!!」


『じゃあ、あたしも行…え、君たち?』



着いて行こうとしたら悠太達に腕を掴まれた。


そして
七実が行かないならウチが行ってくるね、と由真は春とともに駆け出して行った。



『もー…何…』


祐「舞音ちゃん、この王子様がギュッてして囁いてくれるから」


『だって、頑張れ悠太』


祐「七実のことだけど?」


『は?』


悠「そうしたら、あの眼鏡のお兄さん許してあげて?

あれでもね、反省してるんだ


はい、七実王子様宜しく」



…まじか。

キラキラした瞳でこちらをずっと見つめる舞音ちゃん。

しょうがない。



『おいで』



そう言って舞音ちゃんを呼ぶ。


…抱きしめたはいいが、何といえば良いのか分からない。



祐「かわいいねって(小声)」


『!!  か、可愛いね』


舞「きゃーっありがとう///」



喜ぶ舞音ちゃん。


良いんだ…これで…


改めて思い返してみても恥ずかしい。



祐「七実赤くなってるー かーわいー」


『えっ、ちょっと …やめてよー』



するとこんどは悠太が近づいてきて


悠「かーわいー」


と耳元で言うではないか。


ますます恥ずかしくなり、



『ばっ…! もーやめてよ本当に…』



そんなあたしを見てニコニコする双子達。


なんなのこの人たちは。


そんなくだらないことを色々としてるうちに3人が帰ってきた。



要「ホラ、雪んこだいふく…って何事!!?」



要の視線の先にはかなづちを振り下ろそうとする舞音ちゃんがいた。


これは危ない。


要「す、ストーップ!!」



要がとっさに買ってきた雪んこだいふくを下に滑りこませる。



要「なにやってんだゴラァ!」



舞「え だって、この石…割ろうと思って…」



要「割らんでよし!


それガラスなんだよガラス!!

破片飛び散って目に入ったらどーすんだ!?

目ぇ見えなくなんだぞ!


怖い…だろ…」


そこまで言って冷や汗ダラダラの要。

あーあ。やっちゃったな。



舞「これ…ガラスなの?」


要「そのー…海で波に削られて…それで…石に見えるというか…うん…」


舞「へえー! 物知りなのね、お兄ちゃん


知らなかったわ」



舞「同じ顔のお兄ちゃんと王子様がね、めがねのお兄ちゃんすごい反省してるよって言ってたから

仲直りのしるしに、これ半分あげようと思ったの


ね、あげるね」



そういって要のてのひらにころり、と転がる彼女の宝物。



舞「きれいでしょ?」



ふわりと咲いたその笑顔に要は少し照れながらも、


要「きれいだ、」


と返した。







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