□Love・Sick
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※性行為はありませんが暴力的なシーンがありましので苦手な方はご遠慮下さいませ。

大丈夫だという方のみお楽しみください。





『Love・Sick』





 それは狂気にも似て。愛を知らない二人には重すぎたもの。





 駆け引きは得意だ。

 例えばそう―。少なからず私のことを想っている子供にわざと女との逢瀬を見せられるくらいには。



 いつまでも執務室に居座ったまま帰ろうとしない女のうるさい唇を甘やかにふさいだ。媚びるような喘ぎに、内心ウンザリとしながら口腔を貪るフリをする。淫猥な音を立てて温い舌を絡めとる。ドアの隙間から覗き込んでいる子供に聞こえるように。


「今度また連絡しますよ」

 睦言のように囁いてやれば、女の頬が赤く染まった。あとは簡単だ。

「もっと話をしていたいのですが、生憎と仕事が山積みでしてね」


 わざと書類に目を落として頬杖をつけば、女が立ち上がった。

 もう一押し。隠れているつもりの子供に声をかけてやる。


「鋼の。私の話はもう終わったから入ってきなさい」


 一瞬の沈黙の後、小さな音を立てて扉が開いた。

 彼の存在にまるで気付いていなかっただろう女は、目を大きくした後でエドワードに微笑んだ。すなわち、勝ち誇ったような、そういった類の微笑。

 ここまででチェック。

 後は相手の出方を待つだけだ。

 ロイはゆったりと体をデスクチェアーに預けた。


 女が出て行くのを見送ってから、エドワードに座るよう勧めた。


「では、報告を聞こうか?」



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