中・短編

□秘・恋-ヒメコイ-
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今でもハッキリと覚えている。

頭を撫でた時の柔らかい髪の感触に、頭を撫でられて照れ臭かったのか、はにかんだ様な笑顔。

『約束な』

と、手を振って駆けて行く小さな背中──。


セフィロスの様子がおかしいと本社に連絡が入り、それから直ぐの出来事だった。


派遣された部隊、村人共にほぼ全滅。生存者は3名。何れも意識不明の重体で内2人は生存の確率は極めて低い。事件の犯人と思われるソルジャー1stセフィロスは生死不明の行方知れず。恐らくは魔晄炉に落ちたものと思われる。


身体中を絶望が走った。声すらも出なかった。

淡々と自分の上司から告げられた内容が信じられなかった。否、信じたくなかった。


けれど、いつにも況して険しい表情の上司と、自分を気遣う様に見てくる相棒──。

自分の属する、神羅カンパニー総務部調査課通称タークスの情報の正確さが嫌という程、身に染みていて…事実なのだと、更に絶望した。


それからの事を、自分はあまり覚えていない。


いつの間にか、何時もの日常に戻っていた…。


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