中・短編

□秘・恋-ヒメコイ-
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それだからかは分からないが、奪ってやろうとか、そんな気持ち針の穴程も無かった。

ただ、あの氷の英雄と迄呼ばれた男が…俺の初恋の相手が…幸せで、いつまでも笑っていてくれれば…ただ、それだけでよかったんだ。

それだけで俺も、ほわほわと心が温かくて幸せで…ザックスも同意見だったらしく、何があっても2人の味方でいようと、こっそり柄にもなく誓いあった。


くるくると、こちらの言葉に一喜一憂する様が…世話しなく変化する表情が嬉しくて、ただ愛しかった。

何よりも、花咲く様な笑顔が2人して大好きだったから──。




でも…そんな些細な事ですら決して、叶う事は無かった。


『今度の任務さぁ。旦那と俺とクラウドの3人で、クラウドの故郷に行く事になったんだ』


そう言って嬉しそうに、クラウドの親に挨拶しちゃおうかな?なんて、馬鹿みたいな事を言ったザックス。

それが、悪友と飲み交わした最後だった。


『帰ってきたら飯にでも連れてってやるからな、と』

故郷には行きたくないと渋っていたクラウドに、帰って来る迄の楽しみに為ればと俺が言った言葉。
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