中・短編
□変化
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《俺》以外は、
《敵か味方》
もしくは
《有害か無害か》
《有益か》だ……と、
そう告げると、女は一瞬驚いた顔をした後…ただ一言──
『かわいそうに…』
と言った。
それが予想以上に不快で、戯言をと一瞥をくれ「誰が…」と冷笑した。
すると女は、自嘲気味に
『私が…かしらね』
と微笑みを浮かべると、そのまま…それ以上は何も告げる事なく、部屋を出ていった……。
最低だとは思うが、今となっては名前はもちろん顔さえもろくに覚えていない。
しかし、今になって分かるのは『かわいそう』だったのは女ではなく、俺自身だったのだということ。
確かに、こんな俺に捕まった女も『かわいそう』な部類に入るのだろう。と、いうか…確実に入る。
けれど、他人(ヒト)をそういった観点でしか見れず、価値観を見い出せなかった俺は、さぞかし『かわいそう』だったに違いない。
まぁ、今も変わりないといえば変わりないのだが……。
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