中・短編
□その物、欠陥品につき
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顔・スタイル共に抜群で、更に聞くまでもなく高収入…しかも全てに【超】が付く──。
妬むなんて事すら馬鹿らしく、同じ男として名乗るのも憚(ハバカ)られる程だ。
そんな、一見して完璧に見える俺の上司様だが…ひとつだけ…否、かなりのモノが欠けていたのだ。
そりゃもう…ごっそり、ぽっかりと見事な迄にな。
その物、欠陥品につき
不気味な位静まり返った執務室。
サラサラと書類にペンを走らせる音が響き、その静けさを際立たせている。
そんな執務室、ザックスは書類に視線を巡らせながらも思っていた。
寒いな…と──。
今日はそんなに寒い日では無かった筈…つか、寒いなんてあり得ねぇ。季節は夏だ。
だったら冷房が悪いのか…答えは否。
故障もしてないし、設定温度は26℃でバッチリ快適な温度。
でも寒い。
そこまで考えを巡らし、その元凶…この部屋の主にチラリと視線をやった。
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