中・短編
□距離
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ザックスが遠征で留守な為、必然的に2人きりの執務室──。
にこやかに俺の正面に立つ、とても楽しそうなセフィロスに対し、俺はかなり必死だ。
…にも関わらず「どうしたクラウド?」と、笑顔で促す彼に、軽い殺意を覚える。
キッと睨んでも、相手には全く効いておらず、相変わらず楽しそうに意地の悪い笑みを浮かべるだけ…。
今更ながら…遅刻なんてするんじゃ無かった!!と後悔するも、後悔先に立たずとはまさにコレで…先人はよく言ったモノだと思わず溜息。
そして再び覚悟を決め、ぎゅうっと相手のコートを握り、ぐぐっと精一杯の背伸び…しかし、案の定目的は達成されず、そのまま力尽き…ぽすんっと相手の胸に寄り掛かる。
頭上からはクツクツと笑う声。
くやしいと思いながらも既に降参気味の俺は、相手の胸に顔を埋めたまま、ただ唸るのみ…あぁ、我ながら情けない。
「ちょっとぐらい屈んでくれればいいのに…」と、思わず愚痴が漏れた。
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