中・短編
□色彩
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その駆けて来る人物を、自分の視界に映す為、閉じていた瞼を先程よりもゆっくりとした動作で開く
サァ―-…と、優しいけれど強い風がその一本道を通り抜ける
ヒラヒラと舞い踊る淡いピンクの花弁
抜ける様な青空に、走る度にふわふわと跳ねる金糸
「綺麗だ―-…」
「…なにがですか?」
少々弾んだ息を整えながらも尋ねられたその言葉に“なんでもない”と微笑む
「すみません。待たせてしまって…」
「気にするな、俺も今来た所だ」
そう言って、その細い腰を引き寄せ自分の膝に向かい合う形で座らせる
「Sirは嘘つきです」
頬を膨らませながらぶっきらぼうに呟かれたセリフに、思わず苦笑した
そんなかわいい恋人の額に、軽く口付けると…
「クラウド…今はプライベートの筈だが?」
わざと眉間に皺をつくり“敬語…”と、促す
「あっ、すみませ……んじゃなくて、ごめんセフィロス」
意味を理解したのか、慌てて敬語を直すクラウド
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