中・短編
□さくらんぼ
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ガチャリ―-…
静まり返った執務室に、鍵の締まる音が響き渡った
「あー………ι」
行き場の無くした手で、とりあえず刺さったままだった万年筆を引っこ抜きテーブルにソッと置く
すると、きれいに蝶々結びされた“へた”が目に入り、思わず苦笑いが漏れた
『“さくらんぼのへた”を口ん中で結べる奴は、キスが上手いんだってよ』
同僚からもらった“さくらんぼ”を食べながら何気なく言った一言
「まさか、こんな事になるなんてなぁ…ι」
ポリポリと頬を掻きながら、チラリと仮眠室を見る
「うん…ごめん!!」
“無事でいろよ〜”と今更な願いを込めて合掌すると…
ザックスは足早に執務室を後にした
テーブルには、キャップのない万年筆とコーヒーカップ、大量のさくらんぼ――
それから、
蝶々結びされた“へた”だけが残されていた
-END-
仕事中はセフィに敬語を使うクラに何気に萌える私(←オィ)
2007/03/09