中・短編
□空華-ソラハナ-
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いつか貴方と見たこの情景を、また二人で見よう…そう約束した。
でも俺は、今年も独り…この夜空に咲く大輪の華を見つめている。
ドンッと心臓まで震わせて打ち上げられたソレは、儚く…ほんの数秒ではらはらと、闇夜へと溶けていった…。
「綺麗…だな……」
カラン…
グラスの氷が鳴いた。
空
ソ
ラ
ハ
ナ
華
夏の日差しも柔らかいモノへと変わり、朝夕は幾分か過ごしやすくなった、そんな夏も終盤に差し掛かった夜──。まるで夏が去るのを惜しむ様に、毎年ソレは打ち上げられる…。
街は夜が更ける程に賑やかになり、人々もそれに比例するかの様に増えていく。
そんな街の様子を、自宅のベランダから眺めて、ブランデーを片手に空を仰ぎ見る。
「もう、そろそろだな」
きっと…今年も見事な華が咲くのだろう──。
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