中・短編

□距離
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普段からは想像もつかない程、嬉しそうな貴方。


いつもなら、その表情や仕草に見惚れる所だが、いかんせん現状が現状な訳で…悲しい事に、嬉しそうだが意地悪い笑みを浮かべる貴方を不本意ながら、睨み上げる事しか出来ない。


「どうしたクラウド?」


あぁ、全てを理解している癖に、別人な程にこやかに聞いてくる貴方が、俺は憎くて仕方ありません。



目的達成まで後……。



距離





事の起こりは数分前。
自分で言うのもなんだが、珍しく仕事に遅刻した俺。そんな俺に、上司でもあり恋人でもあるセフィロスが職権濫用も甚だしい『ペナルティ』を与えた事が始まり。


『クラウドから俺にキスをしたら許そう』


意地悪く微笑み、そう宣った恋人兼上司に対し、感情のままに怒鳴り散らそうかとも思ったが…考えてみれば今回は明らかに自分に非があるのは明白で、無理やり了承した。


今日になって壊れた時計が、何と怨めしい事か…。


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