中・短編
□隣人-トナリビト-
1ページ/4ページ
サァァァァァ───
春、独特の強いけれど、どこか心地良い風が悪戯に淡い花弁を揺らす…。
はらはらと舞い落ちる花びらが風に乗り、自分を通り過ぎて行く──。
『また、いつか……』
『うん──』
あの無情にも過ぎ去った、思いの様に……。
隣人-トナリビト-
久々の休暇だった…。
だからたまには、趣向を変えて『普通の恋人みたく待ち合わせ』でもしようかと、二人で微笑い合って──
それならば『この季節は、あの場所がいい』と、貴方が決めた待ち合わせ場所…。
大概が迎えとか、家に行くとかが主で……
そんな風にデートするなんて初めてだったから、絶対に遅刻なんかしないと心に決め…普段よりもだいぶ早く寮を出た──
緑地公園の一角にある白いベンチ…そこが俺達の待ち合わせ場所だった。
.