中・短編
□HOLE
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「手間を掛けたな…」
掛けてあったコートを羽織ると再び戦地へ…
テントを出ると同時に…そこは地獄絵図と変わる
響く爆音
鼻をつく硝煙の臭い
飛び散る肉片
転がるモノからは、
夥(オビタダ)しい量の血液が流れ出…地を赤く染め上げる
スラリと…
身の丈程の長刀を鞘から引抜くと…その愛刀は主の前に姿を現した
「行くぞ…正宗――」
ザァッと叩き付ける様な風を薙払うと…彼は戦場へと駆け出した
――その長い銀糸を靡かせながら
腕を包む真新しい包帯には、微かに血が滲んでいた
【HOLE】
「Sir……」
医務班のテントに駆け込んで来たクラウド…
ベッドに座り治療を受ける俺を見ると、取り乱す訳でも無く…
ただ、一言そう呼んだ
医療器具のぶつかる音が…悪戯にテントに響いた
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