中・短編

□HOLE
1ページ/4ページ


「手間を掛けたな…」


掛けてあったコートを羽織ると再び戦地へ…



テントを出ると同時に…そこは地獄絵図と変わる




響く爆音


鼻をつく硝煙の臭い


飛び散る肉片


転がるモノからは、
夥(オビタダ)しい量の血液が流れ出…地を赤く染め上げる





スラリと…
身の丈程の長刀を鞘から引抜くと…その愛刀は主の前に姿を現した



「行くぞ…正宗――」


ザァッと叩き付ける様な風を薙払うと…彼は戦場へと駆け出した


――その長い銀糸を靡かせながら




腕を包む真新しい包帯には、微かに血が滲んでいた







【HOLE】








「Sir……」



医務班のテントに駆け込んで来たクラウド…


ベッドに座り治療を受ける俺を見ると、取り乱す訳でも無く…


ただ、一言そう呼んだ



医療器具のぶつかる音が…悪戯にテントに響いた


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ