中・短編
□ピアス
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偶然入った店で、ショウケースに並んだ【ソレ】を見た俺は……
迷わず購入した――
値段?
そんなモノ知るか
ピアス
「クラウド――」
俺の呼び掛けに、ひたすらペンを動かしていた手がピタリと止まり、ゆっくりとこちらを向く
「なんですか?」
少し首を傾けながら問い掛ける様は、実に可愛らしい…
そんなクラウドに「こちらに来い」と言うと、素直に自分のデスクからこちらに来る
デスクを挟まずに向かい合ったクラウドに、小さめの箱を手渡す
自分の手に収まった箱を、しばらく呆然と眺めていたが、徐々にその形のいい眉が寄っていく
「なんですか…コレ」
日頃より幾分か低いその声音に、相手の機嫌が悪い事がわかる
「プレゼントだ」
少し苦笑しながら簡潔に答えてやる
「今…勤務中なんですが」
クラウドからは、先程よりもぶっきらぼうにセリフが返ってくる…しかし、その頬は微かに色付いていた
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