中・短編
□荊-THORN-【ALL-Side】
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荊には、棘がある。
触れるモノに傷付けた。全てのモノに傷付けた。
決して、故意では無かったけれど…
それでも荊は傷付けた。
ある日、
誰かが言いました。
「お前は全てを傷付ける。そんなお前を愛するモノなどいないのさ……」
と…──。
荊は特に、
気にしませんでした。
だって、それは…自分が1番よくわかっていたからです。
荊
-THORN-
久々に、休日らしい休日を上司様から頂きましたっ!!
緊急呼び出しも、その他諸々も一切合切無しだそうですっ!!!
キャッホーーーーイ!!
…………。
「……って、ぜんっぜん嬉しくねぇっ!!」
風にふんわり靡く白いカーテン。ふかふかベッド……窓から覗く青い空ッ!!
in 俺、病室。
「なにコレ…何?この理不尽さ…」
そう言ってバシバシと枕を叩き抗議するザックスに、ほらリンゴ…と、うさぎリンゴをクラウドは容赦無く突っ込んだ。
「ッもが…むぐぐ…ごくん。ひでぇや、クラウド。俺、一応病人よ?」
しっかりばっちりリンゴを咀嚼し飲み込んだザックスが、如何にもわざとらしくシクシクと泣き真似をする。
そんな友人にクラウドは、今日になって何度目かの溜息を吐いた。
「ザックス…それを言うなら病人じゃなくて怪我人だよ。
それに、一応安静にって言われてるんだからちゃんとしないと…」
コトリと簡易テーブルに置かれた皿には、見事なうさリンゴが楊枝まで添えて並んでいる。
「でもよぉ、久々の休暇がコレって…ホントどーよ…」
「ん〜…セフィロスさんの優しさ?とか…」
かくり…首を傾げるクラウドの姿は、あまりにも無垢であどけない。
「はぁっ!?どこが!?これ明らかにイジメじゃん!!!イジメだよな!!!」
「でも、ほら、大丈夫って言ったって、肋骨ポッキリ4本折れてる訳だし…セフィロスさんも気にしてたんだよきっと…うん。一応…ねぇ。うん、多分?」
しゃくしゃくとリンゴをかじりつつも、捲し立てる様に…しかし、かなり曖昧な説明をするクラウドに、もうザックスはがっくり…と項垂れるしかなかった。
気分は、もーどーでもいい。である。
合掌。
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