バダップ「失礼します。」
バウゼン「よく来た。バダップ・スリード、お前にあわせたい人がいる。ついてこい。」
バダップ「わかりました。」

とある部屋の前

ピッ…スイッチを入れる
バウゼン「瑠華、いるか??」
瑠華「今は闘技場に居りますわ。…後ろの方は??」
バウゼン「チーム・オーガの隊長だ。お前にあわせたい。」
瑠華「わかりましたわ。いま開けますので、闘技場まで来ていただけますの??今ちょっと手が離せないのですわ。」
バウゼン「わかった…」
プシュン…扉があく
バウゼン「ついてきなさい…」
バダップ「わかりました…」

闘技場

プシュン…扉があく
瑠華「遅くなって申し訳ありませんわ。シャワーを浴びていたものですから。」
バウゼン「わしはあの武器の改良をやっているのかと思ったが。」
瑠華「そのとおりですの。オイルがたくさんついてしまったのですわ…」
バウゼン「そうか…。バダップ、紹介しておくと、こいつは雪雲 瑠華、チーム・オーガの最高責任者だ。」
瑠華「はじめましてですわね??先ほど紹介があった通り私は、雪雲瑠華といいますの。私と同じ紋章を受けたもの…。」
バダップ「俺と同じ紋章…?」
バウゼン「それではわしはこれで。」
瑠華「はい。お疲れ様ですわ」
バウゼン去る
瑠華「さて…あなたの名前はなんていうの??教えて??」
バダップ「さっきとしゃべり方が…えっと私はバダップ・スリードといいます。宜しくお願いします…。」
瑠華「そんなに畏まらなくていいよ。私の普通の時はこんなんだしね。何か聞きたいことは??」
バダップ「私と同じ紋章とは??」
瑠華「あなたの額と私の背中、同じ紋章があるとしたら??」
バダップ「そんな…」
瑠華「見る??」
くるり…瑠華がその場で回る
バダップ「でかい…」
くるり…元に戻る
瑠華「でしょ??それで…あぁそうだ…これ渡しておかなきゃね。」
バダップ「髪紐…?」
瑠華「んーちょっと違うかな。これは無線にもなるやつだよ。それに…」
パチン…指を鳴らす
瑠華「指を鳴らすことによってどこでも空間ディスプレイをだすことができるの、それに一つから装備品を登録することができるの。んーと…」
カタカタ…ヴン…ディスプレイを操作し、あるジャケットを出現させる
瑠華「こんな感じにね。私はいろいろ使う人だからカスタマイズして入れてあるの。さてと…」
カタカタ…ヴン…ディスプレイを操作し、ジャケットを収納する
瑠華「バダップに渡しておくよ、新しいやつをね。」
スタスタ…シュルッ…キュッ…バダップに歩み寄り。ポケットから髪紐を取出し、バダップの手首に巻く
瑠華「これはいつでもつけておいてね??校則には違反しないから大丈夫だよ。何か言われたら瑠華にもらったって言えばいいと思うから。参謀格の人たちもまた呼んで来てよ、渡したいからさ」
バダップ「わかりました…」
瑠華「んーいまいち、警戒が解けないものなのかなぁ…ほかに何か聞きたいことは??」
バダップ「あなたはなぜここに??」
瑠華「私がいるとクラスが成長しないのよねぇ…そういうことで私はヒビキ提督の命でここにいるの、授業が嫌でここにいるわけじゃないんだよ??私がいるとクラスが弱体化してしまうから。私の成績表見る??」
パラッ…成績表をめくる
バダップ「これは…今学年トップの私より上…」
瑠華「でしょう??それでぇ…私以外の人は退学になって…って感じ。どう??私のこと怖いと思う??」
バダップ「…どうなんだろうな。」
瑠華「口調変わったね。私はどっちでもいいけど。まぁ、怖いと思うかどうかはあなた次第だからね。そういえばさっき学年トップって言ったよね??それじゃあ私と戦ってくれる??」
バダップ「いいだろう…」
瑠華「それじゃ、私バダップと同じ服に着替えてくるからちょっとまってね。」
バダップ「わかった…」
―――――――瑠華「肉弾戦だよ。準備はいい??」
バダップ「いいぞ。始めよう…」
瑠華「それじゃ、はじめっ…」
ビュッ…踏み込みつつ、手刀を振る
瑠華「ふっ…」
すかっ…手刀が空を切る
バダップ「甘い…」
ドサッ…バダップが尻餅をつく
バダップ「なっ…」
瑠華「脳を揺らしたの。」
バダップ「どこに…」
瑠華「上っ!!」
ゴスッ…バダップの顔に踵落としが決まる
タン…ヒュッ…着地をし、足を蹴りだす
ガスッ…蹴りがバダップに決まり、バダップが飛ぶ
バダップ「ぐっ…」
ダッ…瑠華が走ってくる
バダップ(やられるっ…)
ガシャンッ…バダップの隣で、ガラスが割れた音がする
瑠華「バダップ、目を開けてみなよ、そして左を見て。」
そこにはピンヒールが刺さっていた。
バダップ「なっに…」
瑠華「これまで引けを取ることがなかったものがここまで打ちのめされるとはね。ああー鼻の骨、折れてるよ??まぁ折ったのは私なんだけどさぁ…とりあえず、手当てしてあげるよ。」
シュルシュル…キュッ…包帯を巻き、縛る
瑠華「はい、完了とりあえず、今日は帰りなよ。次来るときはミストレーネとエスカつれてきてさ。」
バダップ「わかった…」
バダップ去る
瑠華「クスクス…これからが楽しみだなぁ…」

つぎの日 王牙学園

?「聞いたか??学年トップのバダップ・スリードが、けがをしたって、」
?「マジかよ??だれがやったんだ??」
?「それがわからないんだ…」
?「おっ、バダップ来たぜ??鼻の骨がおられていやがるな…いったい誰にやられたんだ??」
エスカ「バダップ!!誰にやられたんだ??その傷…」
バダップ「女…だ。」
エスカ「女だぁ??お前にそんな怪我させるほどの奴がこの王牙学園にいるのか??」
バダップ「ここにはいない。だが、王牙学園には、いる」
エスカ「…どういう意味だ??」
ミストレ「バダップ!!エスカバ!!」
バダップ「ミストレか…そういえば、二人とも放課後ついてきてほしい、あわせたい人がいる」
ミストレ「それはいいけど…バダップ、その手首にある紐って何??」
バダップ「あぁ…これか、これはミストレもエスカバも貰うものだ。」
ミストレ「バダップにそのけがを負わした人、って女の子だよね??」
バダップ「そうだが…どうしてそのことを??」
ミストレ「軍靴でやったにしてはあまりにも傷口が小さすぎるからね。たぶん特別なピンヒールでやったんだろうね。違う??にしてもなぁ…この学園でピンヒールを履く女の子なんているっけ?オレは知らないけど…」
バダップ「学園には、居る。ただし、ここにはいない。」
ミストレ「ふうん…放課後の楽しみってことだね??」
バダップ「そうだ…とだけ言っておこう。」

放課後

バダップ「ミストレ、エスカバ、ついてきてくれ。」
二人「わかった。」

瑠華の部屋

ピッ…スイッチを入れる
バダップ「瑠華、いるか??」
瑠華「いるに決まってんでしょ、参謀格の人達連れてきたんだね…といっても、後ろにいる女たちが気に入らないんだけど。」
ミストレ「親衛隊の人たちか…」
瑠華「…まぁいいよ。入ってきたら??闘技場にいるからさ、バダップ、位置分かる??」
バダップ「微妙なのだが…」
瑠華「ふうん…まぁ、空間ディスプレイおいて…あぁ…バダップ自分の紐についている空間ディスプレイ使ってみなよ。使い方はわかるよね??」
バダップ「あぁ…」
瑠華「それじゃぁ、入ってきなよ。最も、親衛隊の人たちは私が許可した人間じゃないから、王牙学園を退学になっても文句は言えないよ??ここ、一般生徒は進入禁止区域だからさ。」
プシュン…扉があく
バダップ「ついてきてくれ」
二人「わかった…」
プシュン…扉が閉まる
パチン…ヴン…指を鳴らし、ディスプレイが出る
ミストレ「空間ディスプレイが出た…どうして??」
バダップ「…ここか…ついてこい。」

闘技場

プシュン…扉があく
瑠華「ようこそって感じじゃあないね。バダップ・スリード、ミストレーネ・カルス、エスカ・バメル…だったっけ??」
ミストレ「オレのことはミストレとお呼びください。あなた様はいったい誰なのですか??」
瑠華「…あれ??バダップから聞いてない??」
バダップ「俺は話してないぞ。」
瑠華「はぁ…私は、雪雲瑠華。チーム、オーガの最高責任者って言えばいいの??それと、バダップと同じ紋章を持つものでもあるよ。背中になんだけどね。あーあと、バダップの鼻の骨を折ったのは私だよ。別に敬語は使わなくていいからね??」
エスカ「オレのことはエスカバとお呼びください。なぜあなたはここに??」
瑠華「何で王牙学園には、畏まる人が多いのかな。私がいるとクラスが衰退する。だから私はここにいる。成績はバダップより上だよ。それでクラスが衰退するからここにいる感じ。私はあなたたちよか一つ年下だよ?」
ミストレ「そうですか…」
瑠華「あ、そういえば、これ渡しとかないとね。バダップも私も持っているやつだけど。」
シュルッ…キュッ…髪紐をだし、それぞれの手首に巻く
瑠華「と、あとこれかな…このカード、入り口のとこにスラッシュしたら扉あくから。」
バダップ「それで??どうする。」
瑠華「ミストレが私と戦ってみたそうな顔をしているのは気のせいなのかな?」
ミストレ「戦ってみたいな。女でどれほどの力があるのかみておきたいし」
瑠華「いいよ。肉弾戦でいいの??」
ミストレ「いいよ、そっちの方が熱くなれる。」
瑠華「いいよ。それじゃぁ…始めようか。ミストレーネ・カルス…」
ミストレ「いいよ。始めっ!!」
ダンッ…踏み込む
ミストレ「踏み込みが甘いよ。」
瑠華「それはどうかな??」
ヒュッ…手刀を振る
ミストレ「何のためにこの手を振ったの???」
瑠華「脳を揺らすためだよ。ねぇ、その状態から立てる??」
ミストレ「立て…ない…」
瑠華「でしょう??私がそうしたもの。あらがえないよ。この力からは。」
ミストレ「…そうかな…そうかもね。」
瑠華「…そう、それなら負けを認める??あなたのことは監視カメラで知ってる。どうしてあなたがここまでのし上がってきたのかも。どうする??その宝を完膚なきまでに壊してあげましょうか??嫌でしょう??それなら…」
ミストレ「そうだね、やめるよ。俺の負けだ。」
瑠華「わかったよ。それじゃあ治してあげるよ」
パシン…ミストレをたたく
瑠華「これで立てるはずだよ。」
ミストレ「ほんとだ…すごいね…」
瑠華「私…より、私の兄のほうが大分とすごいよ…」
バダップ「兄…?」
瑠華「ううん、何でもないよ!!気にしないでほしいな」
エスカ「…そうか…」
瑠華「っ…ここに侵入した人がいるらしいね。監視カメラが気付いている。男が一人…女が一人か。ずいぶんな手駒だね。まぁいいよ。三人はここから動かないでもらっていいかな??私の仕事の邪魔だから。」
カタカタ…ヴン…シュルッ…ディスプレイを操作し、あのジャケットを着て武器を取り出し、組立てる
ミストレ「…その武器は??」
瑠華「これ??これはデスサイズっていう鎌系の武器、我が身はあくまでも最終手段として扱う…って感じ??それじゃ、行ってくるね。…見たかったら、空間ディスプレイ自分の出してみてなよ。」
瑠華去る
…パチン…指を鳴らす
エスカバ「…見るのか??バダップ…」
バダップ「どれほどのものなのかみておきたい。チーム・オーガの最高責任者としてどれほどのものなのかを…な」

ディスプレイ

つかつか…瑠華が歩く
瑠華「…出てきなよ。…ブラックマリンの幹部さん??それともただの下っ端さん??」
男「…死ね!!ディエンク!!」
瑠華「また懐かしい名を持ち出してくれるね。それは何年前のだろうなぁ…」
女「しらばっくれないで、あんたのせいで私たちは…」
瑠華「…死になよ。もうこの場所は私が掌握しているの。何をしようと私が勝の。」
シュパァン…男と女が斬れる
瑠華「バイバイ、私にたてつくのが悪いんだよ。…ドリエスト、始末宜しく。」
ドリエスト「畏まりました。瑠華様」
瑠華「…バダップ、エスカバ、ミストレ、聞こえている??そのまま話せばこちらに通じるから、髪紐に向かって…だよ。」
バダップ「…すごいな、この髪紐」
瑠華「まぁ、私が考え出したものだからね。私はこれからシャワーを浴びてくるから、そこで好きなことをしていていいよ。といっても、出来ることは少ないんだけど、まあいいよ。すぐ行くからちょっと待っていて。」
エスカバ「…わかった…」

しばらくして闘技場

プシュン…扉があく
瑠華「ごめん。遅くなった…」
ミストレ「…すごいんだな。瑠華って」
瑠華「そう??私の徹底的な英才教育のせいじゃない??私はあまり努力はしてないよ。」
バダップ「…なぁ、あいつらは死んだのか??」
瑠華「死んでないよ。ただちょっと痛めつけただけ。たぶん今は尋問を受けてるんじゃないかな??ここに侵入した目的はなんなのか聞いてるはずだよ。たぶんそんなに成果は得られないと思うけどね…いつもそうだったし」
?「瑠華??聞こえているか??」
瑠華「バウゼン様ですわね??どうかしたのですの??」
バウゼン「…尋問室に来てほしい。」
瑠華「わかりましたわ。私の方ですわよね??」
バウゼン「あぁ…そうだ。宜しく頼む。」
瑠華「えぇ…わかりましたわ。」
ピッ…通話を切る
瑠華「…ということだから行ってくるね。ディスプレイの私の指定したところだけあのカードで開くはずだよ。それじゃ」
エスカバ「…瑠華ってどんな奴なんだ??バダップ知ってるか??」
バダップ「俺もよくは知らない。あったのは昨日なんだ。…ミストレはどう思う。」
ミストレ「…俺は特には思わないよ。とりあえず、あの子の兄については少し調べてみようと思うけど。」

尋問室

コンコン…扉をノックする
瑠華「…失礼します。」
バウゼン「…来てくれたか。瑠華。後、よろしく頼む。」
瑠華「わかりましたわ。」
ピッ…スイッチを入れる
瑠華「…ブラックマリンの人…でしたわね??ディエンクだ。お前らがここに来たわけを教えろ。」
男「…言うか!!ここから出せ!!」
瑠華「主導権はこちらにある。こちらに先に答えてもらおう。」
女「…いいわ。私たちは、ブラックマリンのボスの、和夏様から、このことを伝えに来た。…もうそろそろ、俺らがディエンクを殺す時が来ると。これは決定事項だ。覆ることは…」
瑠華「いい。ふうん…今まで何をしても怒ってこなかった和夏がねぇ…一体どういうことなんだ??…スリード家のことか??」
男/女「っ…」
瑠華「図星だねぇ…ふうん…いい。潔く死んでね。」
ぱんっ…男と女が破裂する音がした
瑠華「…戻ろ…」

闘技場

プシュン…扉があく
瑠華「あぁ…居たんだ…」
バダップ「どうだったんだ?」
瑠華「……ねぇバダップ、月白地 和夏って知ってる??」
バダップ「…たぶんオレの許婚の一人だったと思う。」
瑠華「…それだよ……説明するとね。和夏は、私を殺しに来たんだよ。バダップとかかわりを持ったから、私は。それで…バダップを取られたと思ったんだよ。和夏は…バカだよね。」
バダップ「…俺はお前と関わらない方がいいのか??」
瑠華「…どっちにしろ、一緒じゃない??もう関わっちゃったからね。どっちにしろ、和夏は私を殺しに来るよ。私もスリード家の許婚だしね…あの和夏が簡単に諦めるわけないかぁ…どうしようかな」
バダップ「…お前は許婚に乗ってなかったはずだが」
瑠華「名前が違うもの。私の許婚の名前は、ミルラ・ヌークだもの。違って当然。」
バダップ「…お前がヌーク家の御子息か…」
瑠華「そ、私と和夏は………でね。私が自我を持ったころから、超絶仲が悪かったんだよ。まぁ、和夏の醜い嫉妬なんだけどね。私の方が全てにおいて上回っていたから。」
バダップ「すまん、よく聞こえなかった。もう一度言ってくれないか??」
瑠華「…和夏は…私の…兄なんだよ…」
ミストレ「は??ってことは事故??バダップの許婚になったことは…」
瑠華「間違いじゃ…ない。和夏は…男だったけど…女になったんだよ。兄は、もともと同性愛者で…それで私が生まれたことによってもっと複雑にもっと酷くなっていってて…それでついには整形とかやってしまって…もう戸籍としても女として認められている。もう…和夏には…私は勝てない…」
ダンッ…バダップが瑠華を壁に押し付ける
エスカバ「バダップ!!」
バダップ「何でそうお前は諦めるんだ!!お前は和夏には勝てないとなぜわかる!!」
瑠華「…私は…これまでに何度もブラックマリンの襲撃を受けてる…今回は向こうから攻め込んできたから勝てたんだよ??私は…ずっと…和夏がおかしくなってからずっと攻撃を受けてる…その結果がこれ」
プツップツッ…バサッ…ボタンを外し、服を脱ぐ
ミストレ「…瑠華、なんだよ…その傷…」
瑠華「…和夏にやられた傷。私はずっと和夏に負け続けてる…私は和夏には勝てないと確信するのもそのせい…」
バダップ「…その傷は何年前の物なんだ??」
瑠華「…三年前の傷、といってももっと前のもある…私は…もう…和夏には…」
バンッ…バダップが瑠華の左手を抑え込む
瑠華「…私が左利きだとよくわかったね…」
バダップ「…デスサイズが入っている筒の口が左にあるからな。それでわかった。」
瑠華「…そう…私は…左利き。それで私は…」
ズプッ…瑠華が刺される
瑠華「なっ…にっ…ドリエストっ…」
バダップ「瑠華っ…」
瑠華「ハァァァァッ…」
ガシャンッ…ガラスの扉を蹴破る
瑠華「見つけたっ…曲絃糸っ…」
ギュッ…相手を捕獲する
瑠華「捕まえた…ドリエスト、あとよろしく…」
ドサッ…瑠華が倒れこむ
バダップ「瑠華っ…おいっ!!」
あぁ…私はもう死ぬのかな…和夏だけには殺されたくなかった…あんなヌーク家の恥さらしに…殺されたくなんてなかったっ…けど、バダップたちに髪紐を渡してしまって私が警戒を解いたばっかりに…バダップたちは無事なのかな。髪紐の防護機能は作動していない…私は…何がしたかったんだろう。私が結ばれることはあるのかな??いつしか私が幸せになれること…私が…生きてよかったと思える時が…
エスカバ「瑠華!!目を覚ませよ!!いつまで…そうやって寝ているつもりなんだよっ…チーム・オーガの最高責任者はお前だろ??だったらこれくらいのこと乗り越えてみろよ!!」
エスカバの声だ…もう一度みんなで笑いあいたい…ずっと私は泣いてばかりだった。ずっと笑わずに来た…けど、バダップたちにあってから…笑えるようになった。自然に笑えて…どんどん感情を出すのが当たり前になってきて…あぁ…そういうことか…私は幸せでずっと…けど…なんで…?なんでこんな時になってもう一度会いたいと思っちゃうの??会いたいよ…バダップ…エスカバ…ミストレ…もう一度…あの三人と一緒に笑えたら…
瑠華「……………。」
エスカバ「…なんでなんだよ…なんで瑠華ばかりがこんな目にならないといけないんだよ…。」
ミストレ「…今回ばかりは…予想外だったね…こんなふうになるなんて…」
エスカバ「くっそ…俺がもっと強ければ…唯一俺が…」
ミストレ「それは俺も、たぶんバダップもそうだろうね。」
エスカバ「心拍数も呼吸の回数も減ってきてるしよ…こんな終わり方で…お前は納得するのかよっ…お前は学年トップのバダップを破ったんだろう??だったら今回だって…」
ミストレ「…今回ばかりは仕方がないよ。」
バダップ「…思ったんだが、瑠華が弱くなったのは俺たちのせいじゃないのか??」
エスカバ「どういうことだよ…」
バダップ「瑠華が倒れる間際に見せた曲絃糸。たぶん、ずっと体に纏わせておけばあの攻撃は防げるものだったのではないか??俺らが近くに寄ることによって、瑠華は曲絃糸で俺らが切れてしまうのを恐がって曲絃糸を纏わせなくなってしまったのではないか…と俺は考えるわけだ。バウゼン様もあまり瑠華には近寄らなかった。そういうことだと俺は思う。」
?「…やっぱり、バダップはすごいね。そういうことだよ。」
エスカバ「瑠華!!」
瑠華「ねぇ…私はまだ…ここにいる??いられてる??まだ、見捨てられてない??」
エスカバ「見捨ててなんかやるもんかよ…ずっと一緒だ。」
瑠華「…みんな…私のことが好きなの??」
ミストレ「聞いてたのか??」
瑠華「聞こえてきた…といった方がいいかな。」
ミストレ「…ばれちゃったら仕方ないね。そうだよ。」
瑠華「…でも私はみんなとは付き合えないかな…私と付き合ったら…一生和夏に追いかけられることになるし…」
バダップ「それよりおまえはこれからどうするつもりなんだ??」
瑠華「とりあえず和夏のところに行って決着をつけてくる。話はそれから。私は和夏に勝たないと未来はないしね…。」
ミストレ「…ついていった方がいい??」
瑠華「…どっちでもいいよ。でも…私の曲絃糸の邪魔になるかもしれないから…ついて来て欲しくはない。でも…バダップはついて来て。許婚のあなたなら、和夏を止められるかもしれない。」
バダップ「…わかった。」
瑠華「和夏が逆上して私を殺さないといいけど。」
バダップ「…俺がお前を守って見せる。」
瑠華「…わかった。私の未来、心、体をバダップに預けるよ。私を生かすか殺すかはバダップ次第だと考えていい。…行こう。」
バダップ「どうやって??」
瑠華「…ホワイトマリンの力を借りるよ。」
エスカバ「ホワイトマリン??」
瑠華「ブラックマリンは和夏の配下にある勢力。ホワイトマリンは私の勢力だと考えていい。この髪紐を完成可能にしたのもホワイトマリンの力あったから。」
ミストレ「瑠華だけじゃないんだね。」
瑠華「えぇ…ドリエスト、準備して頂戴。」
ドリエスト「…お嬢様の仰せのままに。」

廃墟

瑠華「…ついた…」
バダップ「ここに和夏がいるのか??」
瑠華「いるはずだよ。私の直感と和夏についてる曲絃糸を情報源として割り出した座標がここ」
和夏「バダップ様!!漸くいらして下さったのですね??さぁ、私と共に行きましょう。こんな薄汚れた瑠華などとおらずに高貴な私と共に。」
瑠華「…和夏っ…そうやって幾つの男を陥れれば気が済むわけ??さっさとお前なんて死ねばいいじゃねぇかよ!!お前のせいで何人の人の人生が変わったと思ってんだよ!!」
和夏「五月蝿いですわね…薄汚れた傷だらけのあなたなんかに寄り添ってくれる男なんていると思っているんですの??醜い嫉妬はおよしなさい。」
瑠華「ざけんな。和夏のほうが嫉妬じゃねえかよ。男で生まれたおまえなんか同性愛者としてしか見られねぇのが悔しいんだろ??違うか??」
バダップ「…瑠華。よせ。和夏には何を言っても無駄だ。」
瑠華「バダップ…っ…わかった…」
和夏「あらあら、最後の優しさですわね??ほらほら…もうすぐバダップ様は私の物となるのですわ…」
バダップ「…それは違うな。俺はこれからずっと瑠華と一緒にいるつもりだ。同性愛者のお前なんかと一緒になどいるものか。」
和夏「…なんで…すって…?」
バダップ「それに、俺だけじゃない。他にもいるぞ??瑠華を好きになった奴は」
?「瑠華、大丈夫か??」
瑠華「エスカバ…ミストレ!!」
ミストレ「こういうことだと思ったよ…大体けがが完治してないのに来るなんてバカとしか思えないよ。」
瑠華「…ミストレ毒舌…」
和夏「バメル家にカルス家ですって…?どうしたらそんな手駒を…」
瑠華「手駒じゃない。エスカバもミストレもバダップだって友達なんだよ??私はみんなが好きだからここに存在してられるの。人を手駒としか思ってない和夏なんかに寄り添ってくれる人なんていない。」
和夏「…そんなのただの道楽よっ!!」
ビュッ…和夏がナイフを投げる
ミストレ「瑠華!!バダップ!!」
瑠華「…動かないで、バダップ。大丈夫だから。」
ガキンッ…空間でナイフが弾かれる
瑠華「離してる間に和夏の髪の毛…半分貰ったよ。和夏は防御、私は攻撃その曲絃糸が出来る髪があるんでしょう??」
和夏「ふざけないで!!あんたなんかに私が殺されるわけないわ!!」
瑠華「いや、死ぬんだよ。和夏。私の攻撃の曲絃糸によって…ね。」
シュパァン…和夏が斬れる
瑠華「…お休み和夏。貴方に神の御加護があらんことを…」
ドサッ…誰かが倒れこむ
ドリエスト「お…嬢…様…」
瑠華「ドリエスト!!」
男「はん。ホワイトマリンもこの程度かよ。」
瑠華「…バダップ、ミストレとエスカバ連れて逃げて。ここにいちゃいけない。」
バダップ「なんでだよ…」
瑠華「曲絃糸を広げるから。被害が及んだら困る。」
バダップ「そうか…必ず戻ってこいよ??」
瑠華「当たり前じゃん」
バダップ達去る
瑠華「それじゃあ…殺される準備はできてる??」
シュパァン…相手が斬れる
――――――――三分後
瑠華「あはっ…あはははははははははははははははっ!!!弱っ…今までこんなのに手こずってたの…?ばっかみたい!!」
男「う…あ…ここまでとは…」
―――――――六分後
瑠華「ねぇ…もっといないの?ブラックマリンは…こんなものなの??つまらない…もっと私を楽しませてよ。そのためにここまで来たんだから…」
ユラリ…誰かが立ち上がる
瑠華「そこだね??くらいなよっ!!」
どすっ…曲絃糸の束が刺さる
瑠華「嘘…ドリエスト…なんで…?」
ドリエスト「こうでもっ…しなければ…お嬢様の正気は取り戻せないと…確信しましたのでっ…こうさせていただきました…」
瑠華「嫌だよ…。どうして私を置いて皆行ってしまうの…?やめてよ…もう一人になるのは嫌なのに…」
ドリエスト「大丈夫でございます…もうバダップ様などがいらっしゃるではありませんか…お嬢様に感情を取り戻させてくれたバダップ様が…私はあの時お嬢様が人形になってしまった時に私は執事失格になったのです…」
瑠華「そんなことない!!ドリエストはいつも私に尽くしてくれたっ…私が王牙学園に入ろうと思ったのもドリエストがいたから…そうしなければバダップ達とも会えなかったんだよ??嘘だよね…?死ぬなんて…許さないよ…?」
ドリエスト「…申し訳ありません。お嬢様。最後に…お嬢様の言いつけを破ることをしてしまいますね…」
瑠華「…わかったっ…ドリエスト、ヌーク家御子息として命じます。最後に私の名を呼んで死になさい。そうして、必ず天国で私を待つと誓いなさい。死ぬことを私は否定しません。私を恨んでも構いません。最後に込める気持ちは何でもいいから私の名を呼んで死になさい。」
ドリエスト「お嬢様の仰せのままに。ミルラ・ヌーク様…」
ドサッ…ドリエストが倒れこむ
瑠華「最後までお勤めご苦労様。貴方はっ…最高の執事だったよ。籠の鳥だった私を連れ出してくれたのも貴方だった…ありがとう。ドリエスト…」
ヒュウウウウウ…どこからともなく風が吹く
瑠華「行かなくちゃ。バダップたちが待ってるよ。ドリエスト、私はあなたをホワイトマリンの集合墓地に入れません。貴方には、私の最後の執事として死んでもらいました…さようなら…私の愛した人…」

別の廃墟

エスカバ「遅い…いくらなんでも遅すぎねぇか??」
バダップ「…瑠華は必ず来る。そう言ったんだ。行ってまだ戦いの途中だったらどうする??瑠華の集中力を切らすつもりか??」
ミストレ「バダップの言うとおりだよ。今は待とう。」
?「バダップ…?」
バダップ「…瑠華…なのか??」
エスカバ「どうしたんだよ。その血…」
瑠華「あぁこれ??返り血だよ。気にしないで。」
ミストレ「ってことはブラックマリンをつぶしたの??」
瑠華「潰しはした。けれどその代償として大きなものを失ったよ。」
バダップ「…ホワイトマリンか??」
瑠華「ホワイトマリンなんて名だけの物。ドリエストが…ぐすっ…」
瑠華の異変にようやく気付いた。瑠華は泣いていたため声が変だったのだ。
ミストレ「…とりあえず帰ろう。瑠華の髪に付いた血も洗い流さないといけないしね。」
瑠華「うん…」
帰るとき、瑠華は姫だきされていた。瑠華は自分で歩こうとせずバダップに抱かれていた。ドリエストという男は瑠華にそれまで影響を与える男だったのか??それにあの時見た傷の状態では死ぬような出血は見当たらなかった。どうしてドリエストは死んだのか…ずっとそのことを考えていた。

次の日

俺らはいつものように瑠華のいるところへ向かった。瑠華を警備している警備員にカードを見せて通る。その時何かの異変を感じた。どこからか、鈴の音がした。俺は気のせいだと思ってそのまま扉にカードを通した。そうしたらいつも開く扉が空かなかった。その時瑠華の声がした。
瑠華「…ごめん…今日は帰ってくれない??今あったら絶対に泣いてしまうから…」
バダップ「…それでもいい。開けろ。」
ミストレ「バダップ!!」
瑠華「…わかったよ。いま開ける…」
プシュン…扉があく
バダップ「…行くぞ。」
プシュン…ピッ…扉が閉まったと同時にバダップが髪紐の通話スイッチを入れる
バダップ「瑠華、お前はどこにいるんだ??」
瑠華「今いるところをまっすぐ行った付きあたりの部屋。来て」
バダップ「すぐに行く。そこで待ってろ。」
プシュン…扉があく
エスカバ「…瑠華…」
瑠華「来ないでって言ったのに…どうして来てしまったの??こんな人殺しの私に…」
ミストレ「…髪、きちんと洗った??まだ血の跡がついてるよ。なんだったら俺が洗おうか??」
瑠華「…今はいい。」
バダップ「…人殺しとはどういうことだ??」
瑠華「…私は………………。」
バダップ「はっきり言え聞いていてやるから。」
瑠華「私は…ドリエストを殺してしまった…私は唯一愛したドリエストを…ドリエストを傷付けたから同じことをしようとして…曲絃糸を使って…曲絃糸は二つそろって最強となる…最強になった私は…抑えが利かなくなって…狂ってしまった…そのことをやめさせて…私を正気に戻すために…ドリエストはっ…動けない体で…自ら体を起こして…私は敵だと思ってそれでっ…私は…私はぁっ…どうしたら…」
キュッ…パシンっ…バダップが抱き着き、瑠華がそれを振り払う
バダップ「瑠華…」
瑠華「私に触れないでっ…もう私はだれにも触れちゃいけないの!!だって触れたら…ほら。」
しゅぱっ…服が斬れる
瑠華「斬れてしまうから…私が振り払ったから…服が斬れるくらいで済んだんだよ…もうこの部屋から出てって!!もうここには来ないで!!」
ミストレ「っ…そんなことできるわけないだろ!?そうしたらそれこそ瑠華はひとりになる…違うかい??そうして自分をこの世界から拒絶して…どうするつもりだい??」
瑠華「っ…わかった…ミストレには聞いてほしいことがある。バダップとエスカバは今日は帰って…」
エスカバ「…わかった…ミストレにしかできないことなんだな??」
瑠華「うん…ミストレなら女子として扱える気がするから…」
バダップ「なら今日は帰るか…」
エスカバ、バダップ去る
瑠華「…付いて来て」
ミストレ「わかった。」

とある部屋の前

ミストレ「ここは??」
瑠華「ドリエストの部屋。私の入るのは初めてなの。一人で入るのが怖くて…同じ女の子だったら入れるかなって思って。けど女の子の友達なんていないから、唯一女の子に近いミストレを選んだんだ…」
ミストレ「そう…」
プシュン…扉があく
瑠華「ここがドリエストの部屋…執事長室とはまた違った感じだぁ…ドリエストのにおいがかすかにする…」
ミストレ「瑠華、この手紙、瑠華にだよ。」
瑠華「…私に…?」

手紙

この手紙をお嬢様がご覧になっているということは私は死んだのでしょうか??私はブラックマリンなどではなくお嬢様に殺されるのなら本望です。私の後を追って死のうなどと考えてはいませんか??考えていたのなら即刻辞めていただきたい。私を殺したことなどどうでもいいのです。もう私が死ぬときはお嬢様に殺されたときですから。お嬢様はバダップ様たちと一緒にまっとうな人生を過ごしていただきたい。私のことなど忘れてしまって構いません。お嬢様にはもう私たちの言葉は届きませんから…あの約束もお忘れください。もうお嬢様は許婚などと結婚はせず、ご自分の好きな人と結婚していただいて結構なのです。お嬢様は私を愛してくださったようにお嬢様もバダップ様たちのことを愛してあげてください。お嬢様の好きなようにされてよいのですよ。もう束縛の時間は終わりです。自由に生きてください           ドリエスト
瑠華「…ドリエスト…バカじゃないの…?私は…そんなのっ…望んでない…」
ミストレ「…追申書いてあるよ」
私の押入れの中にある箱の中身の物はお嬢様がもらってください。
瑠華「…押入れ…?」
スッ…押入れを開ける
ミストレ「これっぽいね。開けてみようか」
かぱっ…開ける
瑠華「…このペンダント私の家系のもの…?それにこのオルゴール私があのうちで使っていてもう動かなくなったと思ってた…直してくれたんだ…ドリエスト…」
ミストレ「…もう死のうなんて考えないでよ??」
瑠華「うん…当たり前だよ。」
ミストレ「ならいいよ。こんなところで死なれたら俺らが困るからね。」
瑠華「??…えっと…我儘…言っていい??」
ミストレ「どんなこと??」
瑠華「…湯浴みに付き合ってほしいの」
ミストレ「湯浴み…ねぇ…」
瑠華「…ダメかな??あと、そこで髪の毛洗ってほしいんだけど…」
ミストレ「…いいよ。」
瑠華「ありがとう。それじゃあ行こ?」
ミストレ「…いいよ。」

風呂場の脱衣所

パサッ…服が床に落ちる
ミストレ「瑠華…俺男だよ??」
瑠華「お風呂でどうせ見られるんだったらよくない??」
ミストレ「…瑠華はバスタオルを巻いて風呂に入るという概念がないのかな」
瑠華「タオル類を風呂の中に入れるなんて邪道だよ!!」
ミストレ「…わかった。」
ザァァァァァ…シャワーで体を流す
瑠華「ん…ミストレは脱がないの??」
ミストレ「いや…女の子の前で裸になるのはどうかと思ってね…」
瑠華「別にいいと思うよ。私も裸なんだし。私の体で理性が崩壊することはないでしょ??」
ミストレ「…かもしれないね。」
瑠華「なんだったら、そこにあるタオル巻いてもいいし。私はしょっちゅう執事と一緒にお風呂に入ってたから別にいいけど、ミストレは初めてでしょ??私のところにあるデータを見る限り」
ミストレ「そうするよ。」
パサッ…キュッ…服を脱ぎ、腰にタオルを巻く
ミストレ「失礼するよ。」
チャポッ…
瑠華「それじゃ、お願いするよ。ミストレ。髪はもう濡らしてあるから」
ワシャッ…髪に触れる
ミストレ「…髪の毛長いね。」
瑠華「そうかな??和夏も私も母様もお婆様も長かったから…子供のころから長いのが当たり前だったし…髪は武器だったから切ることは許されなかったし…けど…嬉しかったんだ。」
ミストレ「何が??」
瑠華「長いと手入れが大変で…いつもメイドや執事がそばにいてくれた。縺れた時は直ぐに直してくれたし、綺麗にしておけば綺麗だと言って褒めてくれた。そうして私の髪に触れてくれた。私の髪は武器になる。髪を手にすれば私の髪は攻撃の武器だから…防御のほうが髪が太いの、だから私はいつも…」
ミストレ「…俺はこのままでいいと思うよ。瑠華は守られたくないと思ってるだろ??だからいいんじゃない??」
瑠華「…ドリエストと同じことを言うんだね。…かもしんないね。私は特には思ってないんだ。ヌーク家を出てから…髪なんてウザったいだけのもの…そう思ってた。けど…今はバダップやミストレ、エスカバがいるでしょ??バダップとかって必ず身だしなみ整えてからここに来るでしょ??私はここからみんなをカメラで監視してる…だからわかるの。だから私も整えないといけないなぁ…と思ってたんだけどね。その時にブラックマリンと戦って返り血をたくさん浴びて…それでシミみたいになって取れなくなって…って感じかな」
ミストレ「…気付いてたんだね。」
瑠華「私の観察力はそこまで甘くないよ。学年トップを舐めないでよ。」
ミストレ「そうだね…なんか好きな女の子のところに来るのに普通は整えてくるだろ??」
瑠華「そういうものなのかな。私は好きな人なんかできたことないし…」
ミストレ「…その答えを聞くと今おれたちは片思いってことになるね」
瑠華「…私は一人を選ぶことなんてできない。一人を選んだらほかの人はどうなるの??…一回あったんだ…私の許婚を決める時に…私の前にいる男たちがっ…私を取られまいとして殺し合いを始めて…私はそれでっ…」
ギュウ…
ミストレ「…それ以上は言わなくていい。…なんかゴメンな。こんな話をさせて…」
瑠華「…別にいい。別にいいけど…この格好はどうにかしてほしいかな。」
ミストレが裸で裸の瑠華に抱きついている
ミストレ「っ…ごめんっ…なんか…おかしいんだ…今日は…」
瑠華「…なんなの…私までおかしいかも…こんな気持ちになったのなんて初めてだし…」
ミストレ「とりあえず、終わったよ。」
瑠華「…ありがと。とりあえず着替えて謝らなきゃ…バダップたちに。…今からドレスに着替えるの、手伝ってくれない??」
ミストレ「いいよ。とりあえず出よう。」
ザバッ…ツルッ…
瑠華「キャッ…」
グイッ…ドサッ…
ミストレ「おっと…大丈夫??瑠華」
瑠華「体としては…けどなんか心臓が五月蝿いの…あと体制的にもやばいかな」
ミストレが瑠華を押し倒した状態に
ミストレ「…そうだね。退くよ」
ガラッ…
エスカバ「瑠華、ここに…なっ…」
バタンッ…
瑠華「エスカバッ!!」
ミストレ「…変な誤解を招いちゃったね。とりあえず退いてドレスに着替えるよ。」
瑠華「…わかった。それと明日王牙学園のほうに顔出すから。もう私は学年トップになってるから成績上は。その時に誤解が解けたらいいな。」
ミストレ「…着替えよう。」
バサッ…キュッ…バサッ…バスタオルを脱ぎ、ドレスのリボンを占め、上着を着る
瑠華「よしっ…これで正装…これとこのペンダントを…」
ミストレ「…可愛い…というか綺麗だ…」
瑠華「そう??こんな格好したのは久しぶりなんだけど。」
ミストレ「今から何処に行くの??」
瑠華「…ホワイトマリンの共同墓地。もう和夏との戦争は終わったからね、報告をしに」
ミストレ「…付いてく??」
瑠華「…そうだね。お嬢様には必ずエスコートする紳士が必要だし。」
ミストレ「…お嬢様の仰せのままに。瑠華お嬢様」
瑠華「そんな…やめてよミストレ。私はもう…」
ミストレ「今はこう呼ばせてよ。」
瑠華「…わかった…」
プシュン…扉があく
ミストレ「しかし、広いよね。瑠華のところ。」
瑠華「そうかな……ホワイトマリン諸君。今までご苦労様。和夏との戦争には私とドリエストが終止符を打ちました…しかし、その代償として最後のホワイトマリン、ドリエスト…いえ、私の兄のドエリストが死亡しました…私を正気に戻すために…申し訳ありません。私は兄までもをこの手にかけてしまったのです…このことは必ず逃れられない罪となるでしょう…しかしドリエストはこのことを知っておいででした…なので私の罪を許して下さったのです…私はこのことを忘れません。そうしてもう私を解き放ってください。いつまでもこんな所にいるのはごめんですわ。なので、ヌーク家御子息として命じます。私を解き放ちなさい。私は代償してこの感謝の気持ちを一生忘れませんし、あなたたちのことも忘れませんわ。」
ミストレ「…瑠華…」
瑠華「…行こう、ミストレ。もうここには用はないよ。」
ミストレ「あぁ…」
瑠華とミストレが歩く
瑠華「ミストレ、どうかした??」
ミストレ「…瑠華は俺らのことをどう思ってるの??」
瑠華「…どうとも…といったら嘘になるかな。好き…と言ったらちょっと言い過ぎだし。私は…人を愛せない、というか愛することが出来ない。だから私は弄ばれてそのうち捨てられる。そういうことが何回もあったし。だから私はそのうち愛することをやめて人とも表面的にしか付き合わなくなったんだよ。」
ミストレ「それじゃあ、オレらと付き合ってることも表面的なのか??」
瑠華「どうだろう。私はどっちみち、こんなに深く人と関わったことが久しぶりなんだよ。だからわからないなぁ…とりあえず今日は帰りなよ、明日、王牙学園のほうに行くから。」
ミストレ「それじゃ。俺行くね」

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