きままなお話

□恋と愛、あの人と君。
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1年後−−−−−−−−−





「久しぶり、英二」
「不二ー!久しぶり、遅かったね!元気だった?っていうか全然変わってないじゃーん!」
「残業でね。英二は更に可愛くなったね、手塚のおかげかな」
「違うよ、俺元々可愛もーん」
「ハイハイ。どう、あっちの生活は」
「まあまあかな。仕事も安定しそうだし」
「へー、じゃあ前に言ってた料理番組レギュラーになったんだ、おめでとう」
「サンキュー!」
「で、旦那さんはどうなのかな?」
「ランキング上がったのは日本でも話題になったから知ってんでしょ」
「夜の生活のことだよ」
「ぶ!記事にする気じゃないだろーなー!?///」
「しないよ。でも手塚の肉食度は気になるよね。ああいうのが意外とみみっちいというかしつこいというか…あれ?手塚いたの?」
「…すぐ横に座っただろ」
「いやあごめんごめん。だって頬にでっかいガーゼ貼ってるからどこのケガ人かと思ってさ」
「…」
「で、どうしたの?それ」
「うちの家族に挨拶にいったの」
「…おじさん?」
「と、兄貴」
「そう。それぐらいですんで寛大だね菊丸家は」
「…」
「英二は大丈夫だったの?」
「うん。おばさんから『国光を宜しくお願いします』って言われちゃった!」
「ふーん。その指輪似合ってるよ」
「へへー///サンキュー!」
「うん可愛い。人妻ってそそるね」
「…」
「睨むぐらいならちゃんと捕まえておくんだね手塚。ところで、あそこでやけ酒飲んで泣き叫んで吐いているのは大石かい?」
「うん。カミングアウトしたらああなって、タカさんとが慰めてる」
「親友に娘を取られた複雑な気分になってるんだよ、そっとしといて」
「ねえ先輩、部長に飽きたら俺が面倒みてあげるよ?」
「わ!オチビ酒くさー!」
「俺は部長ではない」
「君相変わらずボケるね手塚」
「部長、今度の全仏オープン勝ったら菊丸先輩もらいますよ」
「俺に勝つにはまだ早い」
「手塚、イントネーションがまだ甘いよ」








********************************
さらに、数年後。
一人の教師がある雑誌を見ていた。

それはグランドスラムを制した日本人の優勝の瞬間の記事と、その表彰台の後ろの客席に昔みた赤い髪の毛の青年が笑っていた写真だ。

教師は笑って雑誌を閉じた。


「大和先生、授業始まりますよ?」
「はい、すぐ行きますよ」


彼は立ち上がって教材をもち職員室から静かにでた。
その顔はいつにも増して穏やかに微笑んでいた。




END
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