歌劇小説2
□風邪に効くクスリ
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昨日から寒気が止まらなかった。
喉にも少し違和感を感じていて
この時期になると流行る症状だっていうのはすぐわかった。
明日は休みだったからゆっくり休めば治ると思っていたが
こじらせた風邪はどうやらそう甘くないらしく、今日の目覚めは最悪だった。
「ゴホッ……最悪だ…。」
部屋のベッドの上で呟く。
頭が痛い、
声が掠れる、
寒い、
体に襲いかかる症状は確実に俺を弱らせていく。
重なる症状に体も動かしづらい。
何より一番襲ってくる感覚は『孤独』だった。
部屋に響く音は俺が発する音しかなく、孤独感が募るばかりだった。
こんなとき思い浮かぶ顔はカズキしかいなくて、脇に置いていた携帯を開いた
着信履歴を開けば直ぐに出てくる番号
発信ボタンに手を押くが、押せなかった。
今電話したらカズキは確実に来てしまうだろう
そんなの駄目だ。
移ったりしたらカズキの声を潰してしまう。
いくら寂しくても迷惑はかけたくない。
結局、ボタンを押せずじまいだった。
「……寝よう。」
薬を飲まなきゃいけないけど、何かを食べるのは無理だ。
大人しく寝て、落ち着いたら何か食べればいい。
そう思って目を閉じる。
睡魔は思ったより早く訪れて、意識が沈んでった。
このとき、携帯を開いたままだった事に俺は気付いていなかった。
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