マベミュ学園
□番外編 出会い
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進級して新しい季節になった。
始まりの日に、俺たちは一年前と同じ始まりの場所にいた。
「桜が綺麗だね」
それ、一年前に初めて会ったときも言ったな
って俺が言ったら、君は
「そうだっけ?」
って笑った。
その笑顔も一年前、初めてこの木の下で会ったときと同じだった。
―始まりの謳―
一年前のマベミュ学園。
「ご入学おめでとうございます。」
そんな声があちらこちらから聞こえていた。
快晴に恵まれた入学式
学園の周りをぐるりと囲み植えられている桜の木も、見事に咲き乱れている。
「今年もキレイに咲いたなぁ〜…。」
中河内はあまり人目に付かない校舎裏の庭に植えられている桜を眺めていた。
生徒もあまり近寄らない校舎裏の桜は、日陰にあるにも関わらず毎年見事な花をつける。
そのため、『下に死体が埋まっている』だとか、『死者の肉体を養分にしているからあんなに綺麗に咲く』など噂されている。
実際そんなことはない、根も葉もない噂なのだが…。
元々、あまり人がこない場所なため花見をするには最適な場所なのだ。
その咲き誇る桜の中に風になびく茶色が見えた。
こんな場所に来る人はあまりいないため、姿を確かめるべく歩き出す。
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