歌劇小説
□コールコールコール
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『パキンッ』
静かな部屋の中に響いた何かが割れる音
今思うとそれは君が俺を呼ぶ声だったのかもしれない
+コールコールコール+
「………………。」
突然の出来事に驚いてしまう。
ついさっきまでそこに形を留めていたオレンジ色のマグカップが少しひび割れをしていた
「……びっくりした」
手にとって見てみると傷口は4〜5cmと言ったところか
「…いきなり割れる事もあるんだなぁ………っ!?」
そんな事を思っていると、今までにないほどの胸騒ぎと心臓がギュッと締め付けられる衝動が躯を駆け巡った。
その時自然とある人の名が口から零れた。
「……………健ちゃん……?」
そういえばこのマグカップは健ちゃんのお気に入りだった
家にくるといつもこれを使っていた……
『このカップ俺専用な!!他の奴に使わせたら絶対アカンで?』
そう言って使っていたオレンジ色のマグカップ
まさか健ちゃん何かあったのだろうか?
そう思うといてもたってもいられなくなった
急いで、充電し終わりテーブルに無造作に置かれている携帯を掴んだ
開いて画面をみる。
メールや電話は入っていない。
動揺しているのか手が震える。
ドクドク煩い心臓の音を落ち着かせながらアドレス帳を開く
『鎌苅健太』
少しの間画面をジッと見つめて
意を決して通話ボタンを押す