歌劇小説
□人肌が恋しい日
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フッと目が覚める。でも瞼が重くて目が開かない。
正確にはなんて言っていいか分からない感覚。
何だか腕に重みがあるのか分かった。
どうやら俺の左腕に何かが乗っかっているようだ。
手探りで何か分からないソレを触ってみる。
しばらくしてソレが人だということが分かった。
重い瞼をゆっくりと開くと
目の前にいたのは
昨日までいないはずだった思いがけない人物だった。
「……すぅ」
安らかに寝息をたてているのは、同じ仕事をしていた龍くんだった。
「なんで…?」
まだ完全に覚醒していない脳で考えてみる。
よく見てみればまだ明け方のようだ。朝日が眩しい。
なぜ?
なぜ彼は俺の部屋、しかも俺の腕を枕にして寝ているんだろうか…?
分からない。
ベッドの近くにバックが落ちているから、多分仕事帰りだったんだろう。
ここの近くで仕事でもしてたのか?
起こそうにもこんな無防備な彼を起こすのは可哀想だ。
俺は今日はオフだから大丈夫だが、彼がどうなのかは知らない。
たが、彼の目の下に黒く存在するクマが睡眠不足を物語っていた。
起こすべきか起こさないべきか迷っていると、龍くんがうっすら目を開けた。
「………………」
「……おはよう龍くん」
「…こ…うじ…?」
寝ぼけているのかまだうまく発音出来ないようだ。
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