歌劇小説

□気付かせたりしない
1ページ/5ページ


人を夢中にしたことは何回もある


だけど


自分が夢中にされたことなんてなかった




ましてや


自分と同じ性別の男になんて






【気付かせたりしない】





「………………ハァ」


稽古中にも関わらず大きな溜め息を吐く。

まぁ、稽古中に溜め息したって、かなり近くにいないと聞こえないだろう。それほど稽古場は騒がしい。


今俺は冬公演を控えている大事な時期にもかかわらず、病にかかっている。

病っていっても薬は効かない不治の病。

いわゆる恋だ。



人をこれほどまで夢中で好きになった事があっただろうか?

今頃になって恋する少年の気持ちがよく分かる。

でも、恋は両思いになれるかすら分からないある意味賭のようなものだ。

しかも思いが伝わらない片思いは結構辛い。


アイツは俺の気持ちなんて知らないだろうな……





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ