歌劇小説
□無防備な眠り姫
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早く来すぎたある日のことだった
『無防備な眠り姫』
「間違ったぁ〜ι」
今日俺は、練習時間を間違えて、2時間も早く来てしまった
「誰もいないだろうなぁ……」
家に戻る気にも、そこらで時間潰す気にもならなかった
「はぁ〜…。流石に、1時間くらいしたら誰かくるかな。」
ガックリと肩を落とし、トボトボと稽古場まで歩いていく
建物には、スタッフさん達ですら数人しかいないみたいだ
「あぁ〜…、もう俺ってほんと馬鹿!」
誰もいないだろうと思い、少し乱暴にドアを開ける
するとそこには
「……龍くん!?」
窓際でスヤスヤ気持ちよさそうに眠る
龍くんがいた
驚きすぎて、ドアノブから手を離してしまいそうになった
何故なら、龍くんは俺の好きな人
そんな人が、目の前で寝ていたら誰だって、驚くでしょ?
「やばっ(小声)!!」
急いでドアノブを掴んで、ゆっくりゆっくり、来たときとは正反対に閉める
「ふぅ……」
一安心した束の間
「…ん…ぅん…」
「(Σビクっ!!)」
龍くんの声に驚き
そーっと振り返ると
「……ス〜…」
相変わらず気持ちよさそうに眠っていた