□狂
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        謎かけ

僕は何故生まれたのだろうと
答えようのない問い掛けをした。
空の碧が悔しくなって
訳もなくそばの石ころを蹴飛ばした。
例えば僕が泣いたって、乱れる事無く世界は廻る。
だから問いたくなるのです。

生まれた意味はありますか。






     もしも。

翼があったなら、羽ばたいて逃げ出せたのだろうか。
高い高い鉄格子に囲われた、紅い人形はいつか、羽ばたく事ができるだろうか。
檻の外を見たこともなく、風の声を聴いたこともない、紅くて可哀想な空人形。
自由の価値も、鎖の意味も、心の重みも知らない人形。

いつか。
翼を持つことを許されるだろうか。
せめて高いこの檻を、飛び回ることはできるだろうか。

どうか。
哀れなヒトガタに、せめてささやかな光を下さい





           多分

たぶん世界は狂ってる。
血を啜り、死を謳い、夜を讃え、狂い回る。
世界はもうすぐ死ぬのだろう。僕らはもうすぐ狂うのだろう。
世界が消ゆる、その刹那、せめて穏やかに逝くために。
狂った世界。
狂った心。
僕らはたぶん、嘆く為に産み落とされた。




           愛してる

その言葉が痛いのだと、君は知らない。
苦しみだと、君は知らない。
僕を殺すのだと、知らない。

ごめんね。
愛しい人。僕は馬鹿で、臆病者だから。
君をたくさん傷つける。
君をワラう。
きっといつかきみを殺す。
ごめんね。
僕なりの愛し方は間違いばかりで。





         他力本願

君だけいればいいなんて、見え透いた嘘を吐く。
愛してるなんて囁いて、背中合わせに座り込み、溶けた嘘をかぶせ合う。
いつも通り、日常茶飯事。
君だけなんて嘘。
あなただけなんて嘘。
愛してるなんて嘘。
嘘 嘘 嘘 全部嘘。
形成さない地面に乗っかって、互いに了承ずみの嘘吐いて。
とろけた冷たいロウの中、私達は眠っているの。
ねぇ、いつでしょう?
貴方はいつ助けてくれる?






       雨

知っていますか、雨が空の涙だと。
いつか言われたその言葉。
僕はなんと答えただろう。
そんなかわいいお伽話をと、笑って蹴った気がしてる。
遠い昔の物語。時の向こうの物語。
笑った僕を許して下さい。

雨。

この空の下、どこかのだれかの心の涙。





SOS

世界に向けて、発信します。

だれか、たすけて。

私の檻を壊して下さい。
翼の鎖を千切って下さい。
鋼の枷を割って下さい。
そうして私は自由になるの。
軋む歯車のリズムと共に、何処か遠くへ駆けてく、だから。

ワタシのココロをタオってクダさい。
ヒトリがサミシクないように。






      思考


それがなんだというのでしょう
だからどうしたというのでしょう

なぜ とも なに とも
ききますまい

りくつをしるたびなさけない
ことわりしるたびやるせない






      手を



手を伸ばしてくれればよかったのに
この名を呼んでくれればとったのに

手を とったのに

例えそれが罪でも 私はあなたを選ぶのに

あなたは棄てた
私を棄てた

う ら ぎ っ た

だから
わたしは
「断罪者」 に なる







狂い回る世界より





眠れ 眠れ

暗幕の中で

唄え 唄え

明朗の空へ

繰り返す日々に
彩りを

明快な明日を
歪ませて

拙い今より
価値をください

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