奉献之文
□夏風、愛しい天邪鬼。
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−暑い最中に布団に包まるのがこんなに辛いとは−
「加減はどうだ?」
横になる左近ににや、と笑みながら声をかけるは先日まで床についていた我が主。
「茹蛸…てこんな気分何ですかね」
「俺は蛸では無いから分からん」
冗談を真顔で返し、ぱたぱたと扇で風を送ってくれる。
「何か食うか?」
「……では殿を」
手をにょきりと布団から出し、細い腕を掴もうとすると細腕に似合わぬ剛力で扇を頭に叩き付けられる。
「っかぁ〜…痛。殿、左近は風邪っ引きなんですからね」
「悪いな。貰ってくれるなんて」
『悪いな』と言ってはいるが顔にも声にも全く悪気は感じられ無い。
左近は風邪を引いた。泣き寝入りをする主にやましい妄想を抱いてしまった罰か。
「ま、暫く大人しくしていろ」
「いえ…この程度なら殿を満足させる事が出来るか…と!」
さっと起き上がり、主の体を引き寄せようとしたが、三成はひらりと胡蝶もかくやと言う身のこなしで避すと襖を後ろ手で開け、極上の笑みを見せた。
「夏風邪は質が悪いという…治る頃には助平心も無くなっていると良いな」
ぱたん、と襖が音を立てて閉まる。
残されたのは病気が似合ぬ男と蝉の大合唱であった。
終わり
後書き↓
◎左近が報われないオチですみません(汗)書いてる途中で「あれ?三成デレデレじゃね?」となって急遽左近に風邪を引いて貰い、三成のツン部分を補充しました。
ツンじゃなくてSに見えなくもありませんが…。
雲雀様!
7000踏破リク有難うございました♪♪
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