駄文
□解語の華。
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「女の子はおしとやかにしなきゃ駄目でしょ!?」
「おねね様に言われたくありません…第一私は男です」
「これ、おねね様の仕業で?」
言うと自信満々というように、誇らし気に話して聞かせる。
「改心の出来だよ!選び甲斐があって、アレコレ迷ってー…最後は皆で決めたの!」
着せ替え人形のようにされて、文句を言えば、二倍になって言い返されていた様が目に浮かび、笑いを堪えるのに必死になる。
「そうだ!後は左近に任せれば良いね!」
「……何をですか?」
涙目になりながら聞き返す、バレて再び頭をぴしゃりと叩かれた。
「秀吉様の御友人の相手をするのだ」
詳しく話しを聞くと、男とバレないよう、これから来る相手と見合いの真似事のような事をしなければならないと言う。
少し気分が悪くなる。
「…で、喋ったらバレちゃうじゃない?」
「俺が殿の隣に座って爺やのような事をしろって事ですか…」
「左近は頭が良いから、機転が効きそうじゃない…お願いだよぅ」
「ま、別に良いですがね」
気は乗らないが、殿の為ならと左近は承諾した。
「じゃあ、宜しく頼んだよ、左近、三成、頑張ってね!」
何を頑張るんだか、とぼやきながら、ねねを見送る為、廊下に出る。
「…殿」
「分かっている…仕方が無かったんだ」
あの人たらしに頼まれて断れる相手などいるのだろうか。
己を見上げた顔は、目が眩みそうな程美麗で、欲望を抑えるのに難儀した。
「殿…いや、姫はこの左近がお守りしますよ」
「すまん…後姫言うな」
しっかりと額に扇を叩きつけると部屋に戻る為歩き出した。
途端転びそうになり、差し出された手に縋り付く。
「大丈夫ですか?」
「あぁ…面倒だなこれは。そして重い。女は凄いな」
変な感心の仕方をする主に吹き出しそうになる。
手を携え、そろりそろりと並んで歩いていると−…
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