駄文
□比翼の鳥
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「あっはっはっ…城下の女がこの佐和山城に殺到…ははは…」
笑い転げているのは、ねねに恋に関して酷評を貰った、島 左近。
「そりゃ見物だ。殿が途方に暮れるのが目に浮かびますよ…っはは」
「お前が言われたんだ、他人事のように馬鹿笑いしおって…」
帰って来て早々、自室を訪ねて来たかと思ったら、大阪であった事を全て話して聞かされ、閉めには否定しようにも要素が無くて出来なかったではないか、と若干怒ったような口調で言われた。
「そんな事されて見ろ、お前を投げてやって煮るなり焼くなり好きにしろと言ってやる」
また、堪え切れないように大声で笑い始めた。
「げほっ…げほ」
「馬鹿か…噎せるまで笑る奴があるか」
と言いつつ、部屋の隅の水差しに手をやる。
横柄者で名高い三成だが、気遣いが出来ないわけではなく、むしろそこらの女より気が付く。現に気遣いが元で三成は今の主に見出だされた。
「…で?殿は左近が浮気しているとお思いか?」
こぽこぽと湯呑みに湯冷ましを注ぐ。
「思われたくなかったら日頃の行いを改めろ」
「ならば…左近の浮気心を失くさせれば良い」
「どうやって?」
いうやいなや、
後ろから三成の華奢な体を抱きしめる。
「左近…何を?」
肩の上に顎を置くと、一層低く、囁く
「浮気心には触れ合いが良く効くとか…」
腰を抱いた腕に己の腕を重ねる。
「ふん…一人で足らんから他を求めるのだろう」
「いえ、愛が足りないと思うから他を求めるんですよ」
方手で滑らかな赤茶髪を撫でる。
「ま、生憎今は殿で手一杯ですがね」
こんなに焦らされて、手に落ちても懐かない、が、ふとした時に寂しさ、弱さを垣間見せる。まるで猫のようなこの御方に自分は振回されている
多分一生…
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