駄文

□華燭
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−まるで火のような−

森を、人を、戦場を焦がすような大火ではなく、例えるなら紙燭のような小さな火ー…この人はそんな人だ。
元筒井家家臣、島 左近は思った。



「殿、お体の調子が良くないように左近には見えますが?」
「そんな事は無い、余計な事は言わなくても良い。」

己に背を向けて机に向かう、かの麗人は刺のある口調でそう言った(−真っ青な顔をしてこの人は何て事を言うのだろう)
心中で左近は呟いた。口にだせば食ってかかってくるのは目に見えているからだ。
ゆらゆらと−…
あるか無しかの風に消えいりそうな、か細く頼りな気な紙燭の炎。手を翳(かざ)して守ってやりたくなるような−…
「何をする!?」 主の怒声にハッと我に帰る。
「…っと…?」 気が付くとかの人の顔が正面に見えた。
「突然人の額に手を翳すとはっ!!」
ここで初めて自分が何をしたか、理解をした。
「顔色が悪かったので熱をと…」
翳したと思われる手は今、ヒリヒリと痛んでいる−…多分叩き落とされたのだろう。
「要らん事だ!余計な事は考えるな!!するなっ!!!」
あぁ……やはり火のような人だ。
どんなに小さい、灯燭だろうと火は火なのだ。うっかり手を翳せば手を焦がしてくる。
−それでも−
「そのような事おっしゃらないで欲しいですな」
「何!?」
怒気で顔を真っ赤させて三成は問うた。
「家臣が主を思うのは務めであり生き甲斐なんですよ?」
特に左近のような忠義の士にはね。と付け加えると、主はきょとんと、続けて微か、ほんの微かの笑みを家臣に向け小さく呟いた。
「…そうか…」
「解って頂けただけで左近は嬉しいです。」−−手を焦がされても護りたい、護ってみせる。左近は人知れず誓った。


後書き◎あわわ〜。初めてのサコミツ、初めての小説、つかHP作ったのも初めてで…色々間違ってたらすみません。…で、今回三成様を「火」に例えたのは彼の辞世の句に「かがり火」と入っていたのでやってみました。他だったら、氷、椿、月下美人等をイメージします。
 

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