S.S.S.S.S

□夜雨対牀ってなんて読むの?U/超短
1ページ/1ページ




鬼兵隊、船上。

煙管(きせる)を燻らす高杉に駆け寄り、また子が訊く。


「晋助様ー、コレ何て読むんスか?」


“夜雨対牀”と書いた紙を指で指示す。

来島また子は心酔する憧れの存在、高杉と会話できるきっかけを探しては、けなげに声をかける。

淡々とした視線でまた子に見向いた高杉が、唇を微かに開きかけた刹那


「それはですねー」

「アンタには聞いてないッス バカ」


傍にいた武市が会話に割り込んでくるのを、また子は一蹴して


「え?何スか?」


高杉に向き直り、笑顔を作る。


「…やうたいしょう」


低い声でそれだけ言うと、高杉はフッと煙を吐いた。国分の良い香りが広がる。


「勉強になるッス」

「お前がバカ」


高杉を囲む、また子と武市。

やり取りを少し離れた所で見ていた万斉は


晋助…気遣いのできる男でござるな。わざわざ言いかけたのにやめるなんて


と、その様子をのんびりと眺めていた。



*夜雨対牀ってどんな意味?/超短*

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ