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□夜雨対牀ってなんて読むの?U/超短
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鬼兵隊、船上。
煙管(きせる)を燻らす高杉に駆け寄り、また子が訊く。
「晋助様ー、コレ何て読むんスか?」
“夜雨対牀”と書いた紙を指で指示す。
来島また子は心酔する憧れの存在、高杉と会話できるきっかけを探しては、けなげに声をかける。
淡々とした視線でまた子に見向いた高杉が、唇を微かに開きかけた刹那
「それはですねー」
「アンタには聞いてないッス バカ」
傍にいた武市が会話に割り込んでくるのを、また子は一蹴して
「え?何スか?」
高杉に向き直り、笑顔を作る。
「…やうたいしょう」
低い声でそれだけ言うと、高杉はフッと煙を吐いた。国分の良い香りが広がる。
「勉強になるッス」
「お前がバカ」
高杉を囲む、また子と武市。
やり取りを少し離れた所で見ていた万斉は
晋助…気遣いのできる男でござるな。わざわざ言いかけたのにやめるなんて
と、その様子をのんびりと眺めていた。
*夜雨対牀ってどんな意味?/超短*