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□ウソだよ
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「ねーねー銀ちゃん、マリッペがね、すっごく面白いゲームがあるから一緒に遊ぼって言うんだけど、いいかな、いいよネ」
「あー」
「マリッペんちに行く途中に電気屋さんあるでショ?」
「あ?」
「この前、たっちゃんも連れて一緒に寄ったらね、セールしてたアル」
「…」
「たっちゃんが私に言うんだヨ、銀ちゃんに相談してみたらどうだい、って」
「…お前ね、俺も知ってる前提でいっつも話が進んでくけど、どこだよマリッペんち、誰だよ、たっちゃん」
「たっちゃんはマリッペの飼ってる犬だヨ」
「犬かよ!なんで犬が、相談してみたらどうだい、なんて言うんだ」
「そう言った気がしたアル」
「どーでもいいや、行ってくれば」
「いいの?銀ちゃん、ありがとーごぜーます」
「…なにその手」
「だから面白いゲームだヨ」
「…やってくりゃイイじゃねーか」
「持ってなくちゃできないモン」
「やっぱりか」
「セールしてたんだヨ、安くなってるんだヨ、DS!」
「もう持ってんだろDS」
「チョコの空き箱で作ったモンで通信プレイなんてできないアル!」
「心で感じろ」
「無理ネ」
「ダイジョーブだ、おまえなら出来るさ」
「出来ないヨ」
「やってみなきゃ分かんねーだろホラ、でっきるっかなでっきるっかな、なでなでアハーン」
「やんなくてもわかるわァ!!しかもなんかやらしいアル!」
「受信してんじゃねーか、脳を鍛えるオトナのDSトレーニング」
「鍛えてんのは脳みそじゃなくてオマエの妄想だろーが!!」
「うちにんなモン買う金はねーんだよ」
「だってみーんな持ってるんだヨ!持ってないのは私だけネ」
「みんなって誰だよ」
「だからマリッペとか〜…たっちゃんとか」
「犬だろーが!まったくガキの言う“みんな”ってなァあてにならねーな」
「みんなと一緒に遊べないなんてカワイソーだと思わないアルか!」
「思わないね」
「思えよ!」
「大飯ぐらいをかかえて我が家の家計は火の車なんだよ、他所は他所、家は家。ココロに刻みつけろと言ったろ」
「でも」
「でももクソもねえ。欲しいモンがあんなら小遣いためて自分で買え」
「こづかいなんてくれたことないくせに!」
「そんなら給料ためて買やァいいだろ」
「じゃあ給料くれよォォ!」
「だから金が無ェっていってんだろぉがァァァ!」
「お願い〜」
「ダメなもんはダメだ」
「ナンだヨ!こんなに頼んでんのに!銀ちゃんは私の事カワイクないアルか!」
「あぁ別にカワイクもなんっともないね」
「かぞくじゃん…」
「ナニ言ってやがんだ、居候が」
「……」
「……」
「……」
「…チッ」
「……」
「……悪ぃ」
「…銀ちゃん?」
「…ウソだよ」
「買ってくれるアルかァァ!!」
「そっちじゃねえぇぇぇぇ!!」
「ヤッター!ありがとー銀ちゃん!!」
「そっちじゃねえって言ってんだろォォォ!コノヤロー!!」
*終*