ひととせ

□ただいま
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ものすごく小さな声だった
距離はかなりあったはずなのに
フユメは俺をゆっくり見て口パクで


ただいま



そう伝えていた










「フユちゃん!」
「シーくん、手、すりむいてる」
「そんなことより!どうしてここに!?」



興奮覚めやらぬといった顔をして詰め寄ってくるシグレ
そんなシグレを愛しく思い思わず頭を撫でる





「…ごめんね」
「フユちゃん…!」




「これはこれは!俺に逢いに来てくれたの?師走!」




師走、と呼ばれた冬芽が振り返る




「…睦月」
「ハジメ…って呼んでよ」




睦月を視界に入れたフユメが目を細める





「じゃあ、ハジメさん」
「フユメちゃんさー、いままでどこ行ってたの?俺探したよー?」




首を傾げて告げる彼にガタリとツカサが動く





「んー、ハジメさんには関係ありませんし、ツカサにさえいってないのに言えないっすよ」
「ふーん、まあイイヤ。みんな、続きはじめなよ。ボサッとしないで神無月を潰せ」



ハジメの声にビクリと肩を揺らした睦月メンバーが攻撃を再開する



「フユ…」
「アキは俺のそばに居たらいいよ」

「あとで、聞きたいこといっぱいあるんだからな!!」
「っはは、」




アキの頭を撫でて乱闘に混ざるフユメ





「……、フユ?」





フユメに感じた僅かな違和感は、なんだろう?
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