泉野パト小説

□とある時間軸の始まりは
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――あたしは、とにかく夢中だったんだ。

試験の事とか、事後の責任とか…
そんな事は全然頭になかった。
ただ、あの子を無事に取り戻せたら。
それだけで一杯だった。


本当は、自分の夢を叶える事が最優先だったのに。
気付けば、この事件を解決させるまでに沢山無茶を重ねてきたあたし。
思いがけず新型に乗ったり。
あんなに何度も危ない思いをして、あちこち擦り傷だらけで。
帰ったらきっと始末書も沢山だろうし、下手したら減俸だけじゃ済まない。

でも、あたしは後悔しない。

警察官になってから一番、一生懸命に頑張った事件。
かなり頑張り過ぎて、沢山無謀な事もしちゃった。
対価として、夢を叶える機会を失ったかも知れないけど…
それでも犯人が許せなかったし、無事に解決させたかったから。
無事に、『あの子』を帰してあげたかったから。

だから、これで良かったと思う。
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