戦乱の世

□大谷の屋敷まで
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「吉継。こんな時間になってしまった。すまないな」
「いえ。気にしないでください」
今日は軍会議の日で例によって二人しかまともに話すものがいなかった。
ので他のものには帰ってもらい二人で会議をしていたら、
こんな時間になってしまった。
「外は暗いが一人で大丈夫か?なんならうちの家臣たちに…」
「気にしないでください。ふふ三成は心配性ですね」
三成に笑いかけて立ち去ろうとすると
「まて…なら俺がついていく」
手首をつかみ振り返らせてうつむきながら言う。
言ったら聞かない人なのを知っているから
「屋敷前の道までお願いします」
と静かに笑った。

「三成は西軍をどう思いますか?」
「皆ばらばらにみえて実は団結した最高の軍だと思っているが?」
「ふふ。三成は西軍の話をするときうれしそうな顔をしますね」
わざと悲しげな顔を作りからかうと必死に
「違う!お前と話すのが…!」
「私と話すのが?」
真っ赤になってうつむく三成が可愛くてついからかってしまう、
などと考えながら三成の手を握って歩き出すと真っ赤なままついてくる。
「三成…いま幸せですか?」
「……当たり前だ」
その後は二人とも黙って歩いた。
ただ互いの温もりを感じながら。

「三成…もう真っ暗ですね…」
「ああ。大丈夫だ。また…明後日か」
帰ろうとする三成の手首をつかみ、
今度は吉継がとめて、
「今日は、泊まっていきませんか?」
「……あぁ」

(真っ赤になる彼が可愛いからまた屋敷まで)

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