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□アンニョン
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「……ねぇ…ホントに行くの?」
俺の小さく呟く声に、ジュンス先輩は小さく頷いた。
「必ず、帰ってくるよ…だから…」
「先輩…俺、待たないよ…」
そう言うと先輩はうつむいて、そっか…と呟いた。
「先輩…、知ってる?…“アンニョン”って挨拶…」
先輩は不思議そうに頷いた。
知ってて当たり前だ。
「……“平和の祈り”、“さよなら”…“こんにちは”…」
「それが、どうしたの?」
俺は小さく息を吸い込んだ。
「俺は待ちません。絶対…」
ジュンス先輩がゴクッと喉を鳴らした。
「……………俺……俺が、そっちに行く…だから…俺のこと、捨てないで…!!」
目の前が滲んできた。
こんなことで泣きたくないのに…。
「待ってて…俺が追い付くの…」
俺の体がフワリと暖かい温もりに包まれた。
「…ジュノの頼みだもん……待ってるよ…早く大人になって、早く俺に追い付いて…。待ってるから…」
俺は先輩の胸におでこを押し付けた。
涙が先輩の服に滲んだけど、許してね?
今日だけだから…
「先輩、待ってて…」
「わかってる…」
俺からも先輩に抱きつき、グッと目を閉じる。
泣くのは今日で最後だ。
「先輩…アンニョン……また会える日のために…」
→後書き