□だって好き
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「君って本当に柚香のこと好きだよねー…」


何?ナルの心臓はチタン製なの?

と皮肉を言ってやると

「しょうがねーだろ…」

と返してきた

本当…しょうがないよね

「柚香はいずみんにゾッコンだものねー」

また皮肉を言うと
今度はうるせーと返ってきた



ナルと私はジンジンに楯突いた罰で図書室で反省文を書かされていた
私たちの他に人は居なく、酷く静かだった。


「くっそージンジンめ…
ちょっとナルのアリス使って遊んでやっただけなのに…」

「捲き込まれた俺の身にもなれ」

「ナルだってノリノリだったじゃん」

「…」


何よ急に黙って
ナルも楽しかったんでしょ?

それにしてもジンジンのあの顔最高だったなあ
と心の中で嘲笑い、
ナルの顔をみると
いつもの生意気な顔はなく少し笑っていた

ああ、私ってこの子のこういう所好きなんだなあって痛感する

私は無意識に手をナルの頭に伸ばしていた

「おい」

「んー」

ナルの不機嫌そうな声を無視し、柔らかい猫毛のような髪をわしゃわしゃと撫でる

「…やめろ」

そうやって抵抗してくる手を掴みナルをじっと見つめた

この瞳の中に私はいるのかな

私はナルが好きで、


だけどナルがどれだけ柚香を好きかだなんてわかってる
わかってるけど…


例えこの子の中に柚香しか映っていなくても、
それでも1%の望みを捨てれるわけなくて、


ナルがただ欲しかった




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