夢 短

□今日は何の日?
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次の日。


今日もいつもみたいに激しい喧嘩が繰り広げられている。


けど、今日はそんなの知らない。

てか、気にしてられない。

私にはどーしてもやらなきゃいけないことがあるし。



「…よし。できるよ、名無しさん」



自分の頬をぺしっと叩いて気合を入れると、
棗に後ろから声をかけた。


「棗」

「このイチゴ柄が!

 …ん、どうした、名無しさん?」


蜜柑ちゃんとの喧嘩を中断して、私のほうに振り返る棗。


「ちょっと、話があるんだけど。

 …いまは、お取込み中かな?」

「いや、いい」


そう言って私の手をひいて、教室から連れ出されて。

"もしかしたら最後になるかも"
って思ったら思わず悲しくなったけど。


このまま、私がこんな気持ちじゃいけないと思うし。



「…ここでいいか。

それでどうした??」


「うん…。


 棗、別れよう…?


 私、棗の素を見れてない気がする。
 
 いつだって、棗が棗でいられてるのは蜜柑ちゃんの前なんだよ。

 無理してる棗なんか見たくない。

 今までありがとう。
 一緒にいれて、すごくすごく楽しかった。

 

 さよなら」


「は?

 あ、おい、名無しさん!!」



突然の告白に驚いた顔。


私を追いかけようと伸ばしたその手。


私の名前を呼ぶその声。




"これからは私以外の人にむけられる"




そう思うと、悲しくて、悲しくて。


涙があふれて止まらない。






なんで別れなんか言ってしまったの?


知らぬ顔で棗を愛することもできた。


嘘で固められた愛でも、受け止めることなんて簡単だったのに。







ほんとに、バカだな。




私。







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