小説

□お返し
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「お前そんなでテスト大丈夫か…」



心底呆れてる棗の横顔。

ちょっとむかつくけど、
そんな棗の横顔は整ってて、
やっぱ棗ってかっこいいわぁ…って思わせる。



「…よし」


「…どしたん?」


「蜜柑、俺のこと、どう思ってる?」



ぐいっ

と顔を近づけて、
ほんまに真面目な顔で聞いてくる棗。

棗の目は、自信たっぷりな印象を受けるけど。


その奥は、

ちょっと不安そうやった。



「な、なんでそんなん///」


「急に聞くのか、って?

 そりゃお前が普段から、
 ルカとかと俺の態度が一緒だからだろ。

 俺はこんなに、」



そこでわざとらしく言葉を切って肩に手をまわすと同時に、

ウチの頬に優しくキスを一つ落として、



「蜜柑…お前だけ見てるのに」



って言って、
少し悲しげな顔もしてみせた。



"ようそんなセリフ言えるわ!"

…って言いたかってんけど。



「…アホ///」



そんなん言われて嬉しくないわけないし、

恥ずかしいし、
幸せやし、

胸のあたりが"きゅうっ"てして苦しいし、

ただ顔を赤く染めることしかできんくて。



「どうなんだよ、蜜柑」



"ん?"

とでもウチの様子をうかがうように、
わざわざ顔を覗きこんでくる。

そんな顔も、またかっこよくて。



「勉強、教えてやってんだろ?」


「そ、そんなん…」


「じゃあやめてもいいわけ?」



棗のいたずらな目がウチを捕らえてはなしてくれへん。


勉強のこと引き合いにだしてくるなんて卑怯やとはわかってるけど。

そんな棗を、すごく好きな自分がいるのがちょっと悔しくて。



「…蜜柑」



棗にじっと見つめられて。


息が、過呼吸なるんちゃうか、ってくらいせわしなくなって。

胸がどんどん苦しくなっていく。




もう、心臓壊れそう…





痛いくらい苦しい。

こんな苦しさは、棗だけ。



「う…ウチも、……好き」


「…やっと言ったな。」



そう言って笑う棗は、すごく幸せそうに笑うねん。

こんな顔、るかぴょんの前でも見せるかわからへん。


そう思うと、
ウチの心臓が壊れるとか、恥ずかしいとか、


そんなこと。




どーでもよくなってしまう。







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