小説
□"帰る場所"に
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身体の熱があがると同時に、
心もアイツを求めて熱くなる。
胸のあたりが急に、
苦しくなって、
切なくなって、、
"きゅぅ"としめつけてくる。
足りない。
全然。
【"帰る場所"に】
=連絡=
・18:00作戦開始
・敵は二十名、武器は包丁やナイフなどの近距離戦に有利なもの
・アリス保持者 二名
テレポート、フェロモンのアリス
迅速に、できるだけ穏便に任務を遂行しろ
作戦通りいけば21:00には終わるだろう
君たちの成功を祈る
以上
「…アイツら手こずらせやがって」
任務前に見た連絡の紙を見、
書いていることとの違いに思わず舌打ちする。
任務が終わって、今は夜の10時半をまわろうとしている。
連絡ミスが多くて、
人数も十人は多かったし、
アリス保持者は三名、アリスはやっかいな結界のアリス。
それに加え、武器も銃やらなにやら揃えてやがった。
おかげでいらないケガも負った。
「…っ……くそっ」
任務中、間一髪でよけた銃弾は、俺の左腕をかすめた。
血は止まったが、いまだにズキズキと痛むことにもまたイライラが募る。
身体を引きずるようにしながら寮へ着いた俺は、
知らぬ間にある一室を見つめていて。
「今日はめずらしく電気ついてやがる…」
アイツの…
蜜柑の部屋の明かりがまだ付いていることに気づき、
俺の中でなにやらうずき始める。
こんな姿で行ったらアイツのことだ、大騒ぎするに違いない。
あまりにそのイメージが現実味をおびていて、思わず口角を上げた。
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