小説

□知ってる
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「……さむい」


"秋"なんて季節を忘れてしまったかのように、
ここ最近急に"冬"が訪れている。

特に今日は一番の冷え込みで、
蜜柑は一人、寮への道を急いでいた。


「蛍は世界のお偉いさんとご飯やし、
 ルカぴょんはピヨに会いにいっちゃったし、
 委員長は風邪で寝込んでるし、
 みんな部屋に閉じこもってるんやろうし…」


最近の急な冷え込みで、
学園中でインフルエンザや風邪が大流行し、
初等部もすべてが学級閉鎖になってしまった。
クラスの半数以上が部屋で寝込み、
蜜柑のような元気な子は暇人になってしまったのだった。

翼や美咲はきっと元気なのだろうが、
これ以上の流行を防ぐため、中等部や高等部への出入りは禁止となっている。
そのため、もちろん能力別授業もない。

こうして、蜜柑が一人でいるというめずらしい光景ができた。


「いくら暇やからって、やっぱり一人は静かやわぁ……寒いし」


あまりに暇すぎて一人で外に出かけてみたはいいものの、
やることが浮かばなくて独り言を口に出す。

"蛍は今ごろおいしいもの食べてるかなぁ"とか、
"ルカぴょん動物たちに暖めてもらってるんかなぁ"とか、
"みんな少しは元気になったかなぁ"とか、

次々に思っていたらやっと寮についた。

…のだが。


「あー!!…宿題教室やぁ…(泣)」


鳴海先生なら後日でもいいが、
宿題の相手はあのじんじん。。。

忘れるわけにはいかない。
しかも今回は蜜柑の苦手な範囲。
今からやらねば間に合わない。


グズグズ言いながらも教室へと歩いていき、ドアを開けた。
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