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□Like Moon Charm
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日もすっかり落ちて夜空に星が輝いている、ギルドからのいつもの帰り道。

いつもの光景。

ただひとつ違うのは
たまたま一緒に帰ることになったグレイが隣にいること。


お互い何も話さない。
ただ終わりが近づく帰宅路を惜しむように
2つの影が、電灯に照らされゆっくりと進んでいく。



やがて、その影も歩みを止め
ルーシィの家の前に着く。
別れの時間。



何故かグレイはルーシィを見つめ黙ったまま。

ルーシィは、
「あ、お、送ってくれてありがとう。」
とりあえずの言葉を述べ、次の言葉を紡ごうと思考を巡らす。


何かー…何か言わなきゃ…
もう少しだけ、もう少しだけ長く一緒にいたいー…



何故、この時そう思ったかは分からない。
空で美しく光る月に、心が惑わされたのか。

何故、この後あんなことを言ったのかは分からない。
きっと、空で美しく光る月に、心を窓わされたのだ。




「…つ、『月が綺麗ですね』。」


少し緊張して、
少し目を伏せてそう言う。

グレイの表情は見れないがきっといきなり月のことなどを話はじめたので驚いていることだろう。



…やっぱり、伝わるわけ、ない…よね。

ふっ、と変な安堵感を混じえて自分を笑う。

そのまま、すっと顔を上げると
目の前のグレイはまだあたしをじっと見つめてた。




「…本当、『月が綺麗ですね。』」


月なんて見向きもせずに
あたしを見つめたまま彼は言う。


「…ー俺のものにしたいくらい。」



彼の漆黒の瞳に映るあたし。
それはまるで夜空の闇に浮かぶ金色に光る月のようで。

まるでその月の魔法にかかったように、
徐々に近づいてくるその闇に
あたしはゆっくりと瞳を閉じた。



―――――――――――
次は、あとがき。



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