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□意地っぱり
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「…どうした?ルーシィ。」

気付かないうちにうつ向いてしまっていたらしい頭の上から声がした。


「…別に。」

素っ気なく返してしまう。


「そーか。」

グレイはそれ以上、
なにも言わない。

頭の上から降ってくる声は
心なしか素っ気なく聞こえる気がして
泣きそうになる。




「…ぐ、グレイはさ、」

沈黙を破るように唐突にあたしは話始める。


「あたしのこと…、想ってくれてる?」

意を決して、そう問う。



再び訪れた沈黙が痛い。

グレイがその沈黙を破った。


「…何言ってんだ。」


何バカなこと聞いてくるのか
ということなのか…。

悲しみから、涙腺が緩む。

それでも、
ぐっと涙をこらえ


「あたしは本気でー…っ!」

聞いてるのに、と
言い終わらずにグレイに
腕を引かれ、手をとられる。


「当たり前だろ。…んなこと、聞かなきゃ分かんねぇのかよ。」


そう続いた言葉が
さっきとは違う感情から
涙腺を緩ませる。




…そうして初めてあたしは
手の温もりに気づく。




「…手、いいの?」


あたしの手は
大きくて少しひんやりとした
グレイの手にぎゅっと繋がれていた。


「…まあ、な。」


繋いでない方の手でぽりぽりと頬をかき、
男の意地でナツに負けるわけにはいかねぇ、とかなんとか
ぶつぶつ言っているグレイ。


「早く、ナツ達に追いつこーぜ。」


そのまま、あたしの手を引くグレイ。



その後ずっと、グレイは
他の人に見られても
ナツにどれだけからかわれても
絶対あたしの手を離すことはしなかったー…。




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