オリジナル小説
□安藤
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「」は安藤・[]は蛭弥
[安藤!!安藤はどこだ!!]
「――お呼びでしょうか?蛭弥様。」
[ああ、今から僕は、《外》に出なきゃいけないからさ、帰ってくるまで彼女のこと、よろしくね。]
「かしこまりました。お気をつけて。((ペコッ」
キィィ、バタン!(扉が閉まる音)
「さて、蛭弥様の大切な《彼女》様に、会いに行かなければ……。」
―――部屋の前に来ました――
「――お嬢様、お部屋に入っても、よろしいですか?」
『うん、い、良いよ。』
―――部屋に入りました―――
『……蛭弥は?』
「蛭弥様は、《外》へ、お出かけになられました。」
『そう……、ねぇ、安藤。』
「はい、何でしょうか?」
『なぜ、安藤は蛭弥の召し使いなんて、やってるの?』
「なぜ…ですか…。それは昔、蛭弥様に助けていただいたからです。」
『助けた?あの蛭弥が?』
「昔はあそこまで、酷くはなかったんですよ?」
―――――回想――――――
[おい、ガキ、そんなところで何してる。]
「……う?、あ、あ!」
[なんだ、まだ喋れないのか……、っ!!]
――ザシュ!!(蛭弥の二の腕に、化け物が引っ掻いた音)
[なんで、こんなところに!?]
――ウグゥアァアアア!!(化け物が叫び、幼き安藤に、手をあげた…その時)
[――っ、危ないっ!!……ぐあっ!](蛭弥が、化け物の爪から安藤を、救った)
「………あ?、うぅ…、たーへ?」
[ああ、大丈夫だよ。……君も、大丈夫そうだね。良かった((ニコッ]
―――――回想終了―――――
『へぇ、蛭弥もそんな時が、あったんだ。』
「はい!」
『でも…今は……。』
「はい…、今、蛭弥様は、化け物の毒気にやられ、狂気の渦に飲み込まれていますが。……いつか、蛭弥様が、昔の優しい蛭弥様に戻ることを、僕はいつも、願い、そして、祈っています。」
『うん!これから、私も祈ってみる!』
「祈り、届くといいですね。((ニコッ、それでは………。」
――キィ、ガチャン(扉が閉まり、扉に鍵がかかった音)
「そろそろ、帰って来ますね。我が、ご主人様、兼、命の恩人様が……」
―――コツ、コツ、コツ(蛭弥がこちらに帰ってくる音)
――キィィ……
「お帰りなさいませ。蛭弥様……。」
END