オリジナル小説
□蛭弥
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「」は蛭弥
「ねえ、僕はさ、この場所から離れられないんだ。」
『うん、知ってる。』
「知ってるならさ、何で、《外》に行くの?」
『それは……』
「それは?何?買い物なら、安藤に頼めば済むことだし、遊びに行きたいなら、この場所に、創ることだって、可能なんだよ?他に《外》に行く理由があるなら、言ってみてよ。」
『……っ、友達に会いに行っただけよ。』
「………なんだぁ、友達かぁ!……あれ?変だなぁ、君をこの場所に連れて来るとき、友達から君の記憶は消したはずなんだけどなぁ?……消し忘れ?」
『えっと……それはさ…』
「もしかして、嘘ついてるの?……嘘つき?」
『ちっ違うよ!!友達だよ!!……男だけど……。』
「………男?だったらその男、殺しに行かなきゃね……いや、その前に、大切な君を誰にも、触れさせないように、閉じ込めなきゃね。」
『……っ、い、嫌っ!!止めて!!蛭弥!!』
「………っ、止めてって言われたら、止めたくなっちゃうけど……」
『……((ホッ』
「……でも」
(愛おしそうに、吐き捨てるように)「駄目なんだ。今回はもう、駄目なんだ。もう、遅い。」
『………えっ、ちょっと待ってよ!!蛭弥!!待って!!ねえ!!まっ――』
ガチャン(扉が閉まる音)
コツコツコツ――(足音が遠ざかってゆく音)
「――さて、彼女の《外》にいる、男の友達を、殺しに行かなきゃね。彼女と僕を離す者は、誰だろうと、殺さなきゃね……」
END