APH−HETARIA’S NOVEL
□世界の中心、俺
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世界の中心、俺。
俺が居なければなにも始まらない。
そう、会議だって始まらないんだ。
「アメリカー!!」
「アメリカさーん!!」
「ったくあいつどこ行ったんだよ……」
「アメリカさんがいないと話になりません」
文句を言いながらも、探すその目は必死そのもの。
俺を求めて動き回るたくさんの人々。
楽しいんだぞ!!
俺がいないと、積み重なった積み木が倒れるように物事が上手くいかなくなる。
そう。まさに世界が俺を中心にして回ってる証拠さ。
「おい、アメリカ!!いい加減でてこい!!」
困り果てたイギリスの声。
ここまで求められると、ヒーローの俺としては出て行かないわけにはいかない。
「AHHHHHHH!!待たせたな!ヒーローの俺、参上!」
今しがた、ファストフード店から来たように見せかける。
皆の顔に、安堵が浮かんだ。
やっぱり、主役が必要なんだ。
「このメタボ!食いしん坊!どーせまた会議があったの忘れてハンバーガー食ってたんだろ!」
「HAHAHA、違うよ!たしかにハンバーガーショップには寄ったけど、注文した品がなかなか来なくて遅れたんだぞ」
手に持った袋を見せ付けると、皆呆れたように頭を抱える。
もちろん、今まで隠れてみてたんだから、これはウソ。
まぁ、調子にのって買いすぎたのは本当だけど……。
「この馬鹿!!注文のし過ぎなんだよ!」
「ヒーローには、たくさんのエネルギーが必要だから、これくらいは食べないと持たないんだぞ!」
「美国はいずれ体壊すあるよ…」
やれやれ、責められるのって、一苦労だな。
ハンバーガーにかぶりつく。
「とりあえず、これで会議が始められるな」
ドイツの安心したような言葉。
俺が戻って、やっと世界は正常に回りだした。
止まった風が再び吹き出すように、遮られた日の光がまた射すように。
世界は俺を必要としている。