APH−HETARIA’S NOVEL

□ファンタジー症候群
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 最近、アーサーの様子がおかしい。

 一人きりになると何も無い空間に向かって喋りだす。
 それでとっても嬉しそうに『何か』をなでる。
 時々くすぐったそうに笑い声をだす。
 普段のアーサーじゃ絶対にしないような無邪気な笑顔を見せることもある。

 それなのにその笑顔が見ていて切ない。
 凄く切ない。
 どうやら私たちには見えない『何か』と話をしているらしいんだけど。
 それを密かに友達と呼んでいることも知ってる。

 ここは親友として病院にでも連れて行くべきだとは思うけど、他の人にきいたところ、『アーサーはいつもそうだよ。俺たちも病院に連れて行こうとして逆ぎれされた』と口をそろえて言われた。
 そんなこといわれたらとてもじゃないけど病院には連れて行けない。
 本心としては何とかしてあげたいところだけど…。

「どうするべきかな……」

 アーサーのせいでこっちまで独り言を言う癖がつきそうだ。


  ☆  ☆


「は?俺になにか悩み事……」

「うん。最近心労が溜まってそうだったから」

 会議の後、アーサーを呼びとめて「悩み事はないか」と聞いてみた。
 もしかしたらこの一連の行動はそういった疲れからきてるんじゃないかと思ったからだ。

「ん〜…得にねえな。強いて言うなら誰かさんに自分の気持ちを伝えきれないことぐらいか…」

 アーサーは考え込むように唸り声をだしたあと、そういった。

「あ、そうなの?よかった〜」

「え?ちょ、ちょっとお前」

 悩み事から幻覚を見てるんじゃないかってことがわかって一安心だ。

「後半の言葉、絶対スルーされたな……」

 なぜか悔しそうに呟くアーサー。
 はて?何のことだろう。

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