Esperanza(サンジ/切)









私がサンジのことを好きってことは、クルーの誰にも言ってない。だって彼はナミの恋人だもの、私のことなんか眼中にない。

加えて言うならば、女好きの彼が付き合いはじめてからは全くナンパをしていない。




サンジはナミに心底惚れている。


皆そう思っているし、事実だった




どう足掻いたって、私はナミに勝てないんだ・・・








「アゲハちゃんだったらさ、誕生日に何貰ったら嬉しい?」
『・・・ナミだったら、服かアクセサリーがいいよ』


サンジにとったら、私なんか唯の相談相手
彼が片思いの頃から変わらない関係


だから、私が欲しいものなんか言ってあげない。
私が欲しいものは貴方だから。
言ったところでくれる筈がないのでしょう。



相談される度に、心が張り裂けそうな程苦しくて

悟られないように笑うのが辛くて

気付いて欲しいのに、気付かれたくなくて



矛盾した私の心の内なんか、貴方は知らないのでしょうね



「金が無いから困ってんだよ、前の島が観光地だったから余計な」『相当巻き上げられたんだ』
「マジで勘弁してほしいぜ」


愚痴を聞く度に、《もしかしたら》なんて待してしまう狡い私が大嫌い



それもみんな貴方のせいよ




こんなにも近くにいるのに、どうして手が届かないの?




「ナミさんてば、ホントに人使い荒くて」


――――もしも私があの子だったら、もっと優しくできるのに




「今日もこれからショッピング付き合えって」


――――もしも私があの子だったら、きっとわがまま言わないのに



「ナミさんておれのこと、どう思ってんのかなぁ」


――――もしも私があの子だったら、ずっと君だけ見てるのに





何が足りないの?
何が負けているの?

もっと早く出会っていれば変わったの?
貴方を独り占めすることができたの?




それでも、サンジはきっと・・・



『好きなんでしょう、ナミのこと?』


「あぁ・・・、愛してる」



――――ほらね、
日だまりのように微笑うんだ



「サンジ君!」
「ナミさーんV 今日も素敵だーVv」
「あー、はいはい 
アゲハもコレといさせてごめんね」
『全然、ナミこそサンジのこと大切にしなよ?』


「ねぇ、これから一緒にショッピングしましょうよ!
荷物持ちもいるし」




――――嗚呼、なんて残酷な台詞なのかしら




『・・・悪いから、また今度いつか行こう?』


振り向かずに言い捨てて、足早にダイニングを後にした















『暑っ・・・』


夏島の太陽は強く、思わず手を翳した



何時まで、哀せばいいの
何時まで、愛せばいいの


不毛な想いなど、断ち切ってしまえばいい
そんなの解ってる




―――でも、それでも


『・・・諦められないよ』












君の笑顔のような真夏の太陽は眩しくて、この想いを焦がしていくけれど


心は凍えていくばかり



あとどれくらい
泣けばいいのかな

傷付いた心を隠すことが辛くて仕方がない



君の温もりに触れたいって
君の優しさに触れたいって

ずっと、ずっと叫んでる






ねぇ、もう少しだけでいい

多くは望まないから、傍に居させて?






誰よりも大好きな

たった一人の君に愛されたいの



















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