神の使徒と時空の姫君(D灰×ツバサ)

□始まりの国
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ザァァァァァ

雨の中、奇妙なミセに奇妙な格好をした男女が5人立っている。

「それはまた難題ね
二人とも」

「いいえ、三………五人とも、かしら」

「あぁ?ここにいんのは三人だ、せこの小娘を合わせても四人、五人もいねぇぜ」

「いいえ、五人よ」

黒い、刀を持った男が黒い式服を着た女につっかかる。
しかし女は負けじと言い返す。
その時――

キィィィィィィィイイ

耳なりのような音がして、少年の後ろに空から何かが落とされる。

ドンッ

ベチャッ

「〜〜ってぇ」

『いったぁぁ』

空から落ちてきたのは、赤毛の少年―ラビと、藍色の髪を持つ少女―ミア。

「ほら、五人でしょ」

ニヤリ、そんな効果音がつきそうなほど女は黒い男に笑みを向ける。黒い男はうっとおしそうに顔を背ける。

「……ここ、どこさ?俺ら、アクマに飲まれたはずじゃぁ……」

「ここは日本よ」

ラビの問いに女が答える。その答えに二人は驚愕の顔を見せる。

「『日本!?」』

「そう、日本。あなた達の世界の日本とは違うけれど」

『どういう事?』

「つかアンタ誰さ」

「私は次元の魔女」

いまだ動揺を隠せない二人に女―次元の魔女はサラリと答える。

「あなた達の願いは何?」

「願い?」

『次元の、魔女………あ!本で見たことある!!………多分。たしか……それ相応の対価を渡せば何でも願いを叶えてくれるって言う…』

ミアが思い出したように言い、次元の魔女を指差す。次元の魔女は微笑み、

「えぇ、そうよ。で、あなた達の願いは何?」

と、再度二人に問う。

「マジなんさ?(コソッ」

『多分マジ(コソッ』

「どうするんさ(コソッ」

『とりあえず、ウチらの世界に帰してもらうように言わな(コソッ』

「…そうさね(コソッ」

こそこそと話す二人。

「決まったかしら?」

『え?あぁ、はい!
元の、ウチらが居った世界に、ウチらの仲間のとこに帰りたい』

「それが、あなた達のねがい?」

「そうさ」

二人の願いを聞いた魔女は、その場に居る全員を見、口を開く。

「その願い、あなた達が持つもっとも価値のあるものでも払いきれるものではないわ」

その言葉に少年は少女をぎゅっと抱きしめる力を強くする。

「けれど、五人一緒に払うならぎりぎりって所かしら」

はっと顔をあげる少年。

「なにいってんだてめー?」

「ちょいと静かに頼むよぉ
そこの黒いの」

「黒いのじゃねぇー!」

魔女につっかかる黒い男。
黒い男につっかかる白い男。
そんなこと諸ともせず、魔女は話を続ける。

「あなた達五人の願いは同じなのよ

――その子の飛び散った記憶を集めるために色んな世界に行きたい

――この異世界から元の世界に行きたい

――元の世界に戻りたくないから他の世界に行きたい

――元の世界の仲間の所に行きたい

目的は違うけど手段は一緒。
ようは、違う次元、異世界に行きたいの

ひとりずつではその願い、かなえることはできないけれど、五人一緒に行くのならひとつの願いに五人分の対価ってことでOKしてもいいわ」

「俺の対価ってなんだよ」

短気なのか黒い男は魔女の話を聞いてすぐに自分の対価を聞く。



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