*H-book*

□夜明けまであと少し
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穏やかに眠る、愛しい人。
「…んっ」
見つめている視線に気付いたかのように、閉じられていた瞳がそっと開いた。
琥珀色の瞳に、私が映る。その瞳に、そっと微笑みかける。
「おはよう、鷹通…」
「…ぁ、おはよう・・ございます…」
私の声に、昨晩のコトを思い出したらしいこの愛しい人は、恥ずかしそうに顔を朱に染めた。





ひっそりと、月明かりから逃げるように触れあう逢瀬。二人だけしか存在いないような、そんな錯覚を起こす程に近く、互いの熱と息づかいだけを感じながら合わせる肌。うっすらと闇に浮かぶ、白い肢体。その肌に舞い散らかした、紅い花びら。
ただ、お互いの全てを感じ合いたくて、熱にうなされるかのように抱き合った夜。






勿論、これが初めてというわけはないのだが、彼はいつまで経っても慣れないらしい。
その恥じらいさえ、愛おしく感じてしまう。
単衣一枚だけを身に纏い、抱き合ったままの二人。鷹通は自分が私に抱き寄せられていることに気付くと、さらに顔を赤くし、軽く手を突っぱねて身体を離そうとした。それを、さらに強く抱きしめて阻止すると、今度は困惑の表情を浮べつつ、抵抗を止めた。
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